小さな散歩道

矢川緑地保全地域  立川市羽衣町3丁目

 南武線西国立駅を出て、立川南通り、みのわ通りを歩くこと15分足らず、道路から一段下へ下りて行くコンクリート製の階段に出た。 3年半ほど前に訪れたことがあるが、その時は入り口が分からず戸惑った場所だ。
  今度は迷うことなく、階段を下りてすぐ左手の湿地帯に入った。中を伸びる一本の木道は、幅1メートル足らず。 以前来た時は、これほど水量はなかったと思われた。植物もほんのわずかだったような気がする。 それが今やススキのような穂をつけた背の高い植物や、タデの一種らしい草花が所狭しと繁茂している。 ちょっと先は見えないくらいの生い茂りようだ。きっと自然に任せるまま、思う存分生えさせているのかも知れない。
 木道の脇に立ち、「湧水を水源とする矢川の水路内にはナガエミクリ、ミクリ、ミゾホオズキなどの植物が見られ、 野鳥などの生息地になっている」という説明板は以前と同じだ。
 少し進むと、木道の両側は沼のようになって来た。前来た時は畑のようで、ほとんど水がなかったはずだ。 水辺にはガマのような水生植物も生えており、すっかり大湿原の様相を帯びている。 立川という都会がすぐ近くにあるとは、やはり思えない。まさに別世界。
 湿原を抜けると、幅3メートルほどの川が流れている。「矢のように流れが速い」から付けられたそうだが、 この日も緩やかに澄んだ水が流れていた。川に沿って広がるケヤキや桜などの林からは、野鳥のさえずりが聞こえてくるだけ。 あたりは静けさに包まれていた。

 

(08年11月掲載)  地図


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