小さな散歩道

曙町のガス灯  立川市曙町3丁目

 

  立川駅北口を出て立川通りを国立方面へ向かう。東橋交差点で立川通りと別れ、一方通行路を歩いて約5分。門柱に「東京ガス株式会社」の看板が掛かる工場に着いた。奥に薄緑色をした巨大な球状のガスタンクが見える。
  正門の前に立つのは一基のガス灯だ。高さ4メートルほど、グレーの柱には装飾が施され、いかにも「文明開化の光」らしい装い。柱は上部で二股に分れ、それぞれにランプが付いている。ランプはおなじみの、四角錐のてっぺんをちょん切って逆さにした形だ。四面はガラス張りで、頭にはギボシのような飾りをつけている。中にはガス管のようなパイプが見える。夜になって、ほのぼのとした明かりが点灯したら、さぞムードが出るだろう。
  そう思って、敷地内にある同社多摩支店を訪れ、ガス灯に火をつけるのは毎夕何時か聞いてみた。答えは残念ながら「今は点灯していません」とのこと。いつから点灯をやめたかは、はっきりしないという。もっぱら多摩支店のシンボルになっており、その役目は十分に果たしているのだそうだ。
  ガス灯は、いつごろここに立てられたのだろうか。明治以来のガス器具など、貴重な資料を展示している同社の「ガスミュージアム」(小平市)に問い合わせてみると、立てられたのは、1989年(平成元年)6月という。
  「やはり灯がともるガス灯を見たいね」と言われる方は、同社多摩ショールーム(立川市高松町2丁目)にどうぞ。入り口の壁に掛かる2基は、夕方から点灯するそうです。

(08年12月掲載)  地図


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ