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(左)
鳥居と男坂 (右) 大石神社社殿
例年、秋の祭りでにぎわう長津田の大石神社の近くに、大山街道の旧道が残されていると聞き、訪れた。長津田は江戸時代に大山街道の宿駅(長津田宿)として栄え、宿場家は幕末頃で約50軒を数えたとのこと。
長津田駅から大山街道(国道246号線の脇道)をつくし野方向に歩いて10分弱、右側に急な坂道が見える。「大石神社の女坂」だ。ここから入ることもできるが、石垣伝いにもう少し歩くと、右手に両脇を高い木々に囲まれた急な石段がある。見上げると鳥居がでんと構えていて、石段の先にもう一つ鳥居が見える。ここが「大石神社の男坂」だ。
一礼し大きく息を吸ってから石段を上り始めること58段、開けた台地に出た。先ほど見えた鳥居の向こうに大きな木に守られた白い社殿が見える。創建年代等は不詳だが、神体は石神で在原業平等の伝説があると案内板にある。
境内には市指定の名木のモミとシラカシに並んで桜があり、春には見事な花を咲かせるとのことで「長津田十景」のひとつ、「大石観桜」に選ばれている。参拝をし、男坂の左手の女坂を下りると、その途中に移設された長津田宿常夜燈の1つ、上宿常夜燈がある。
1843年建立、高さが2.4m、なかなか立派である。その手前には豊作を祈願する地神塔もある。
そのまま坂を下り旧大山街道に向かって行く。再びつくし野方向に歩き、男坂の前を過ぎ長津田小学校の信号を右に曲がると、小学校の左側が旧大山街道の入口だ。左手に竹林が広がり何となく旧道の雰囲気がある。森村学園の脇を通って大山街道に出るまでのわずかな道程ではあるが、このような道が残っているのは面白い。この旧道も「長津田十景」の「長坂夜雨」に選ばれている。
江戸時代、この道を歩いて大山詣をした多くの旅人たち。夜になると常夜燈に火が灯り長津田宿に来た旅人たちを迎えていた、そんなことも想像される。
ここからはつくし野方面に歩いてもよいが、時間のある方はもう一つの常夜燈、下宿常夜燈が大山街道を下長津田方面に行く途中の右側に、他の石造物と並んであるので訪れてみるのもよいだろう。(徒歩15分)
※「長津田十景」の詳細は緑区長津田歴史探訪マップHPを。
(2018年9月掲載) 地図
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