小さな散歩道

落川公園(日野市落川2012)


落川神明神社の社殿

日野市落川土地区画整理事業・竣功記念碑

藤棚

種がつまった藤のさやの色が鮮やか

 百草園駅から川崎街道を東に進み、街道から左に入って踏切を渡ると、目の前には落川神明神社があった。神社の社殿は再建されたもののようだが、なかなか古めかしく雰囲気のある社殿だ。社殿に掛けられた扁額には見事な龍が彫られており、その脇からは大きなコブをつけたご神木が伸びていた。

 神明神社を過ぎると、赤い自動販売機の手前から左へ入る小道が伸びている。この小道の先には、日野市指定史跡・落川村制札(高札)場跡がある。制札場とは、徳川時代、幕府がそのときどきの諸法度や掟書の趣旨を木札に書き、民衆に掲示していた場所のことだという。住宅地にひっそりとたたずむ制札場跡だが、一角には「制札場遺跡」と記された石柱と石灯篭、朱色の祠が建てられていた。

 小道を戻り、ビニールハウスが並ぶ道を進むと、落川公園に着いた。落川公園は中央に大きな芝生広場があり、外周部には広場を囲むように水路が伸びている。公園の隣には水田もあり、のどかな雰囲気が広がる一帯となっている。


落川公園入口

 入口近くにはこんもりと茂った藤棚があり、大きなフジの実がたくさん垂れ下がっていた。その近くにはブランコと滑り台が設置されている。遊具の数は少なめのようだが、開放感のある広場や水辺で楽しんでもらいたいという造りの公園なのだろう。

 園内を流れる用水には木製の小橋が架けられており、なかなかいい雰囲気を添えている。用水の中にはザリガニや小魚が生息しているようで、橋の近くから水中を熱心に観察する親子連れの姿も見られた。
  園内に水の流れがあるためか、芝生広場では数え切れないほどのトンボが飛んでいた。この日は、虫捕り網を持った子どもたちが何とかトンボを捕まえようと、懸命に広場を走り回っていた。


芝生広場の周囲は用水路がめぐっている

  広場の周囲には散策路が伸び、所々にベンチも置かれている。木陰のスペースは少ないので、過ごしやすい季節に訪れてみるのもいいだろう。また、小橋の先には上部に稲穂を乗せたユニークな竣功記念碑が設置されていた。

 公園から少し進めば、多摩川の土手に出る。公園の案内板によると「落川」という名は、浅川が多摩川にここで合流することからこの名がつけられたそうだ。

(2025年9月掲載)  地図


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