小さな散歩道

日野市立中央図書館下湧水(日野市豊田2−49)


日野市立中央図書館

図書館の中庭。画面中央奥に八幡神社が見える。

湧水の水源地は図書館下の鳥居の脇にある

鳥居前を勢いよく流れる湧水

 豊田駅南口から、正面に伸びる大通りを5分ほど進む。信号のある交差点を右折すると、左手に日野市立中央図書館が見えてきた。レンガの外壁がとても印象的な建物だ。今から50年前の1973年に開館。「歳月を経るほど美しくなる図書館」を目標に設計されており、その後の図書館建築にも大きな影響を与えたといわれている。

 図書館右側にある細い通路を抜けると、木々が高く伸びた中庭があり、その一画にある小さな八幡神社が庭に趣を与えている。中央図書館は崖の上に建っているため、図書館の窓際に置かれたベンチに座って遠くに目をやると、浅川対岸の多摩丘陵の緑が目に入ってきて、心地のいいスポットだ。この木陰のベンチで一休みするのもいいだろう。また、図書館の中庭に面した側は大部分が窓になっており、館内からは中庭の緑を眺めながら読書を楽しめるようになっている。なかなかよく考えられた設計だ。


「東京の名湧水・中央図書館下湧水群」と記した柱

 中庭から急階段を下って鳥居をくぐると、右側に湧水がサラサラと流れていた。その湧水の流れる細い道を進むと、「東京の名湧水・中央図書館下湧水群」と書かれた柱があった。東京の名湧水57選に選ばれているこの湧水は、毎秒約17リットルの豊富な水量があるという。案内板によると、一帯は線状の葉が魅力のセキショウの植栽などにより、水生生物の棲みやすい環境を再現しているとのこと。柱の手前には飛び石なども置かれていて、近所の子どもたちが水遊びにやってくることも多いようだ。

 湧水を眺めながら道の奥へ進んでいくと、水源部分を保護するためと思われるやぐらがあった。やぐらの下をのぞいてみると、崖下からジワジワと水が湧き出ている。きれいに澄んだ湧水に手を入れてみると、ヒンヤリとした感触が体に伝わってきた。

 湧水は鳥居の先で二手に分かれているようだが、大部分は鳥居正面の開渠となっている水路を流れているようだ。ジャバジャバと勢いよく流れ出た湧水は、この先で豊田用水に合流し、日野市内を東に流れた後、浅川に注ぎ込む。水路に沿って、市内をぶらっと散策してみるのも楽しそうだ。

(2024年7月掲載)  地図


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