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(左)近くを流れる浅川の土手から公園を写す (右) 取材した日は丸いジャングルジムに子どもたちが集まった
長沼駅から浅川に架かる長沼橋を渡る。ここは浅川と湯殿川の合流ポイントであり、橋の上からは上流から湯殿川が合流してくる様子がよく分かる。長沼橋は八王子市と日野市の境にあり、橋の両端には両市の花と木を描いたプレートが埋め込まれていた。
長沼橋を渡り、堤防上を下流に向かって進む。浅川の対岸には多摩丘陵の鮮やかな新緑が連なっていて、耳には野鳥のさえずりも聞こえてくる。なかなか気持ちのいい一帯だ。堤防上を少し進むと、浅川のほとりにある、さいかちぜき公園に着いた。
この「さいかちぜき公園」という変わった名前だが、園内東側にある案内板に公園名の由来が記されていた。案内板によると、この公園の西北200メートルの堤防のはずれに用水堰があり、その堰上の堤防にサイカチの大木が生い茂っていたために「さいかち堰」と名付けられたという。「さいかち堰」は、この付近一帯に用水を分配するために設けられた堰のようだ。
(右)ここが公園名のルーツのようだ
また、マメ科の植物であるサイカチの実は大きなサヤに入っていて、このサヤはサポニンという成分を含んでいるため、水につけてこすると石鹸のように泡が出るという。かつては洗剤の代わりに使われてきたこともあるそうだ。案内板の裏にはサイカチの木が植えられていて、近くで見ると幹や枝には鋭いトゲがあった。
園内には遊具も多く設置されていて、大型と小型の滑り台やブランコ、鉄棒やパンダのムービング遊具、円形のジャングルジムもあった。この丸いジャングルジムは近年ほぼ見かけなくなったもので、少し懐かしい気持ちになってくる。この遊具は現代の子どもたちにも人気のようで、近所の小学生がぐるぐると楽しそうに回っていた。木陰には砂場や水場があり、ベンチも適度に設置されているので、浅川散策の際にふらっと立ち寄ってみるのもいいだろう。
案内板の通り、堤防上を上流に進むと長沼橋の先に「さいかち堰」と思しき堰があった。堤防から下りて堰をよく見てみると、この堰は水を二手に分ける分水堰になっていた。堰からはジャバジャバと水が勢いよく流れており、その先の水路にはつがいのカモの姿があった。
(2024年6月掲載) 地図
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