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平山城址公園駅で下車し、駅近くの滝合橋を渡り、浅川の堤防を上流に向かって進む。この辺りは空が広く、対岸には多摩丘陵の緑が広がっている。耳を済ますと、時折野鳥の鳴き声も聞こえてくる。浅川沿いをカタカタと走る京王線も風情を添えており、なんとものどかな雰囲気の一帯だ。この辺りは散策コースとしても人気があるのだろう、堤防上では多くの人がジョギングやサイクリングに精を出していた。
堤防上の道を進むと、右手には「はたの農園」の直売所がある。市内の小中学校へ野菜を出荷しているというこちらの直売所では、新鮮な野菜を地域の人たちへ提供している。(営業時間:平日9時〜12時、土日祝、雨の日休み)。
「はたの農園」の角を曲がると水路の先に農地が広がっている。こののどかなエリアを抜けると、緑が高く伸びる平山八幡神社に着いた。
平山八幡神社の創建年代は不詳だが、かつては若宮八幡、または正八幡と呼ばれており、文治年間(1185〜1190)この地を領した平山季重が、鎌倉の鶴岡八幡宮を勧請して郷中の鎮守としたという。また、天正18(1590)年には徳川家康が「軍配団扇」、これを納めていたと思われる「袱紗(ふくさ)」、「至道無難墨蹟(ぼくせき)」を寄進したと伝えられている。これら3点は、「八幡神社社宝(一括3点)」として日野市の指定有形文化財に指定されている。
(左) 鳥居 (右)境内から眼下の街並みを見る
きれいに色づいた木々を見上げながら鳥居をくぐり、境内へ入る。正面の石段を上ると、立派な社殿が高台に鎮座していた。扁額に金色で「八幡神社」と記された社殿は、薄茶色の柱が周囲の木々によくなじんでいる。緑の中にひっそりとたたずむ神社、といった雰囲気だ。
境内にはマツなどの様々な木々が高く伸びており、社殿の左手は、落ち葉がぎっしりと敷きつめられた雑木林のようになっている。その先の境内左隣はテニスコートになっていて、視界の開けるこの辺りからは沈む夕日をきれいに望むことができた。
なお、鳥居の右手には、弁天宮がある。こちらには「武洲平山弁財天」と記された柱が立っていて、小さな鳥居の先では立派なコブのついた木が伸びていた。
(右)弁財天
(2021年12月掲載) 地図
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