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(左) 百草観音堂の参道 (右) 本堂
高幡不動駅から、「聖蹟桜ヶ丘駅(三沢台路線)」行きのバスに乗り、「百草園住宅東」で下車。バス通りを進み左手に伸びる百草園通りを行くと、百草観音堂の境内から飛び出るようにシイの木の巨木が道にせり出していた。樹齢何年になるだろうかと思わせるほど立派な幹だ。その光景は圧倒される。坂道を上り境内の入口に向かうと、傍らに「武相九番百草観音札所」という石碑が建っていた。
百草観音堂の創建年代等は不詳だが、明治時代、現在の京王百草園の地にあった松連寺が廃寺になり、寺の仏像などがこの地にあった庵に移されたのだという。また、百草観音堂は武相卯歳観音霊場四十八箇所のひとつでもあり、12年に一度の卯年には開帳されるのだそうだ。
階段を上り参道を進むと、手水鉢の先に漆黒の柱と扉が印象的な観音堂があった。さほど大きなお堂ではないが、この中には数体の仏像が安置されており、日野市の有形文化財に指定されている。
お堂近くの案内板によると、これらの仏教彫刻群は平安〜江戸時代までの様式を備えていて、いずも美術的・技巧的に優れたものであり、百草地区における寺院の変遷を考える上で重要なもの、と書かれていた。
この日は当然ながら開帳されてはいなかったが、扉の窓から仏様の姿を垣間見ることができた。また、観音堂の右手奥には、お地蔵様などの石仏が並んだスペースがあり、帽子を被ったお地蔵様の足元にはきれいな花がお供えされていた。
百草観音堂の隣は農地になっていて、道路の向こうには豊かな緑が広がっている。境内の植栽も手入れがされていて、なかなか気持ちのいい場所だ。また、七生丘陵と呼ばれるこの一帯は、里山の風景が残る自然豊かなエリアだ。散策に足を伸ばしてみるのもいいだろう。
なお、バス停横には観音堂公園があり、広場の脇に滑り台やブランコ、うんていなどの遊具が置かれている。この日は、合唱サークルの練習だろうか、隣接する地区センターから麗らかな歌声が園内に響いていた。
(2021年11月掲載) 地図
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