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日野駅の東側に出て、駅前通りを渡り、宝泉寺を横目に旧甲州街道を進む。坂下地蔵堂、飯綱権現社の前の崖際の急カーブの坂道を上りきったところに、矢の山公園がある。
慰霊塔群
園内に入ると、左側の一角には大きな石碑がいくつも建ち並んでいる。ちょっと普通の公園とは異なる雰囲気だ。石碑群を見上げながら園内の崖際に進んでいくと、日野市教育委員会による案内板があった。それによると、大正10(1921)年11月、武蔵・相模一円で行われた陸軍特別大演習の際に、当時の皇太子(後の昭和天皇)がこの付近から演習の様子を総監したのだそうだ。後にその一角に開園した矢の山公園内には、それまで八坂神社や高幡山金剛寺にあった、日露戦争や太平洋戦争の戦没者を追悼する慰霊碑が移設されたという。
石碑群の右手に建つ殉国慰霊塔は、高い塔の頂上部に球体を配していて、正面には扉も付けられている。この塔は石碑群の中でも一際高くそびえており、ひっそりとした高台の園内に強い存在感を放っている。この殉国慰霊塔は太平洋戦争の戦没者を追悼する慰霊塔だった。その左手には黒石で造られた大きな日露戦役紀念碑が建っており、こちらもその大きさに圧倒されてしまう立派な慰霊碑だ。 人けの少ない公園であるが、ふらっと散歩にやってきた高齢者は、石碑に向かって深々とお辞儀をしていた。
再び崖際に赴いてみると、生い茂る木々に視界を遮られるものの、高台からは日野の街並みや立川方面を見渡すことができる。眼下には宝泉寺の境内が広がっていて、この公園は宝泉寺の裏山に位置していることがよく分かる。木々にとまる野鳥を眺めていると、近くを走る中央線の音がカタコトと耳に入ってきた。
園内の遊具は、滑り台と幼児用の乗り物遊具があるくらいで、他は中央の広場の所々に木々が伸びている程度で、ゆったりと高台を散策するという雰囲気の公園だ。
石碑の傍らに目をやると、白い梅の花が咲き始めていた。
地蔵堂の大きなお地蔵様と小さな6体のお地蔵様
(2021年2月掲載) 地図
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