小さな散歩道

みどり地区の除草ヤギ (立川市緑町3丁目など)

 
間近にヤギさんが。奥に「IKEA」の看板が見える


サンサンロードを北に進む

お仕事中のヤギさんたち

  多摩都市モノレール立川北駅からペデストリアンデッキを下りると、モノレールの高架下には、遊歩道「サンサンロード」が伸びている。駅近くのデパートや映画館が立ち並ぶエリアを抜けると、左側のエリアではホテルやホールなどが入る予定の大型商業施設の工事が始まっていた。さらに遊歩道を進んでいくと、工事用フェンスの途切れた一角がある。そこでは、10頭のヤギたちが草をムシャムシャと食べていた。

  立飛ホールディングスによるこの再開発エリア全体の除草のために、2015年からヤギが導入され、2017年にいったんは「任務終了」となった。 しかし地域住民からの要望もあり、この4月から7月2日までの期間限定で「勤務再開」となった。

 この10頭のヤギたちは、観光施設「那須りんどう湖レイクビュー 那須高原牧場パーク」(栃木県那須町)からの6頭と、「自然暮らし体験村 森と湖の楽園」(山梨県富士河口湖町、タレントの清水国明さん経営)からの4頭が同社に「出向」してきている。結構遠い所から来ているのだ。
  以前は広いエリアにヤギたちが放たれていたが、今回は「サンサンロード」沿いの一角(約250平方b)での「勤務」であるため、ヤギたちを間近で見守ることができる。

  ヤギたちの前には早くも人だかりができており、中には立派なカメラを持つ人の姿もあった。10頭のヤギたちには「ゆき」「みるく」「いずみ」など、それぞれに名前がついている。角の形が異なっていたり、体毛がフサフサだったり、短かかったりするが、どのヤギも一心にムシャ、ムシャ「勤務」に励んでいる。中には茶色い毛をまとったヤギや、「まだ子どもかな?」と思うほど体が小さいヤギもいた。
  ちょっと眠たげで純朴なヤギの表情を眺めていると、なんだか和やかな気持ちになってくる。

  しばらくすると、近所の幼稚園児たちがやってきた。保育士さんに連れられた園児たちは「わー、ヤギさんだ!」、「ヤギさん、ヤギさん!」と興味津々で見入っていた。また、通りがかりの買い物客たちも「なんで立川にヤギがいるの?」と驚きと喜びの表情を見せていた。

  時折、ヤギたちは盛り土を下りてきて、「サンサンロード」沿いの金網に体を擦り付ける。「体がかゆいのかな?」とも思ったが、手を伸ばして触れてみると、結構体毛は硬い感触だった。
  目の前で触れ合えるヤギたちに、周囲の人も声を上げて大喜びだ。おそらく今回の「勤務」が最後になるため、ヤギたちも「あと少しでお別れだね」と、ファンサービスをしてくれているのかもしれない。

(2018年5月掲載)  地図


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