小さな散歩道

石田寺(せきでんじ)  (日野市石田1丁目)


日野市の天然記念物・カヤの木

石田寺の本堂

歳三の墓に遺影が

屋上広場の北川原公園


石田寺山門

 多摩都市モノレールの万願寺駅を降りて、住宅街を5分ほど歩くと、都立日野高校の隣にある石田寺に着いた。 新選組副長・土方歳三の墓所として知られるお寺だが、意外とこじんまりとした佇まいである。

  「愛宕山」の看板がかけられた山門をくぐり境内に入ると、右手には六地蔵が並んでいた。 六地蔵には、それぞれに「地蔵菩薩」、「宝掌菩薩」などの名が書かれているが、 一体ごとに手を合わせていたり、手に持つ物が異なっていたりするのが微笑ましい。
  六地蔵の先には、市指定天然記念物の立派なカヤの木が立っていた。 説明板によると、樹高約26メートル、幹囲4.2メートル、根元から2.5メートルの高さから3本に枝分かれしており、樹齢は400年以上と推定されるそうだ。 太い根が地面を張っていて、逞しい生命力を感じさせる大木だ。

  カヤの木の先には、瓦屋根が印象的な本堂が構えており、右手には福禄寿などが祭られている光輪堂、本堂の向かいには北向観音堂が建っている。 この十一面観音像を安置している観音堂は、勝負ごとや子育てなどにご利益があるそうだ。


「土方家之墓」、その右に土方歳三の墓「歳進院殿誠山義豊大居士」

  カヤの木と六地蔵の間の道を入ると「土方歳三義豊之碑」が建っており、その先の墓地の中を少し進むと「土方歳三の墓」の看板があった。 この墓所の中央には「土方家之墓」、その右に「歳進院殿誠山義豊大居士」との墓石が建っていた。 墓石の下には歳三の写真があり、両脇にはきれいな花が供えされていた。 お寺に着いた時から「この辺りに訪れる人が多いな」と思っていたが、周囲のお墓と比べても、それほど大きなお墓ではないのは意外であった。 今もなお人気を博す新選組だが、彼岸の歳三はどんな思いで現代を見つめているのだろうか。

  近くに「土方歳三資料館」の名前で、「お願い」と書かれた看板があった。近隣の墓所などに荷物を置かないように。 線香は一束丸ごとではなく数本づつ使ってほしい。多くの人が一度に焼香すると周囲が煙で一杯になるので。ゴミは持って帰って欲しいなど。 この内容からも土方歳三の人気がうかがえる。

 帰り際、近くの浅川水再生センター脇に伸びる「みなみぼり遊水路」から、階段を上ってセンターの屋上に造られた北川原公園に寄ってみた。 この屋上には広い芝生の広場があり、高所にあるため見晴らしもよく、とても開放感にあふれた公園だ。また、この辺りの多摩川の土手には桜並木が続いている。 こちらで桜を楽しむのもいいだろう。

■ひの新選組まつり
  5月12日(土)と13日(日)、日野駅前甲州街道周辺及び、高幡不動の周辺で行われる。

(2018年4月掲載)  地図


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