小さな散歩道

「日野宿本陣」 (日野市日野本町2丁目)

 
(左) 冠木門をくぐると、幕末時代へ一気にタイムスリップ   (右) 切妻瓦葺の屋根は「本陣」としての格式を漂わせている


日野宿本陣は、新選組カラーの浅葱色ののぼりが目印

試着用の羽織で新選組隊士の気分が味わえる。
説明をするガイドの岡田さん。
岡田さんの羽織は自前だそうだ。

仏間から見える庭の眺め

 日野市指定有形文化財の日野宿本陣まで、日野駅から徒歩10分弱。街道沿いにあるが道からは若干奥まっているので、新選組カラーの浅葱色(水色)ののぼりを目印に行くと良い。

 日野宿は、甲州道中に45宿あったうちの10番目の宿場で、日野宿本陣は都内に残る唯一の本陣建築。甲州道中に現存する本陣建築も、小原宿本陣(神奈川県相模原市)と下花咲宿本陣(山梨県大月市)、そして日野宿の3箇所しかないそうだ。元々あった本陣の建物は嘉永年間の大火で焼失、現在の建物は今から153年前、1864年(元治元年)に再建されたものだ。

 本陣正面の冠木(かぶき)門をくぐると、立派な切妻瓦葺の屋根と入母屋玄関が見えてくる。日野駅から数百メートルの近距離に、こんな立派な建物があったとは!駅周辺の喧騒から、一気に幕末の時代に入り込んだ気分になる。
  玉砂利を踏みながら順路を進み、建物脇の入口から中に入った。受付後ろの部屋にあるビデオコーナーで、新選組や幕末から明治にかけての日本や日野の歴史が良くわかる解説ビデオ(16分)を見てから、見学するのもオススメだ。

 玄関の間や控えの間など11室ある部屋は、それぞれ趣向がこらされ、江戸時代末期の建築様式を知ることができる。土間に一番近い18畳の主屋の広間には、新選組の羽織が用意されていて、試着することができる。この部屋では、かつて日野宿を訪れた土方歳三が“昼寝”をしていたそうで「羽織を着て寝転んで、土方歳三の気分を味わうファンの方もいらっしゃいますよ」と、日野新選組ガイドの会の岡田美惠子さん。

 日野宿本陣では、岡田さんのような日野新選組ガイドの会のボランティアガイドが常駐していて、予約なしで本陣内の詳しい説明を聞くことができる。同会では、新選組ゆかりの地を歩く「幕末歴史散歩」も実施しているが、こちらは要予約(TEL042-586-8961 日野市観光協会)。

 日野宿本陣から徒歩15分ほどの所に「新選組のふるさと歴史館」(日野市神明4-16-1)があり、甲州道中日野宿、幕末維新、自由民権運動などに関する展示や日野市郷土資料館の企画展などを行っている。お得な2館共通券は2週間有効。

■日野宿本陣 (日野市日野本町2-15-9)
開館時間/9:30〜17:00 (最終入館16:30)
休館日/ 月曜(休日の場合は翌日)、年末年始
入館料/大人200円、小・中学生50円
      ※新選組のふるさと歴史館との共通券は大人300円、
       小・中学生70円
問合せ/日野市立新選組のふるさと歴史館
      (TEL 042-583-5100)

(2017年11月掲載)  地図


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