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社殿
高幡不動駅を北口に降りると、前方に見える緑の生い茂る一帯が若宮愛宕神社。まさに駅から目と鼻の先、という感じだ。
若宮愛宕神社の創建年代等は不詳だが、金剛寺(高幡不動)本尊傍らの二童子の彫刻にまつわる伝説に由来すると伝えられている。
その伝説とは、金剛寺を訪れた旅僧がわずか数日で七尺余の二童子の像を彫りあげ、その見事な出来に住職や村人、参詣人らは驚愕した。そして旅僧が出発する際、村人たちが見送る中、旅僧の姿は突然消えてしまったという。
村人たちは「二童子を刻んだ旅僧は神の化身である」と、その地を別旅(わかたび)村と名付け、ここに村の鎮守として「別旅明神」を建てた。
この別旅明神が若宮神社となり、大正初期に愛宕山(高幡山)山頂に祀られていた愛宕社を合祀し、現在の若宮愛宕神社となった。
鳥居をくぐって境内に入ると、左手には縄を巻かれた大きな零石があった。特に説明書きなどはなかったが、ちょっと不思議な雰囲気である。
社殿は再建されたものだが、白地に朱色の柱や階段が色鮮やかでとてもきれいだ。正面を見上げると並列表記で「若宮・愛宕神社」と金色で書いてあった。
↑ 迫力のあるお顔をしている狛犬
社殿左手には境内社「小野稲荷大明神」があり、中には狐の置物が多数置かれていた。また社殿右手のご神木も見事なもので、根は力強く広がり、切り株の中には蜂の巣を思わせるような形をしたものもあった。境内は木々に包まれているが、緑の中に黄色や赤く色づいた木々もあり、この紅葉の時期ならではの風情を感じさせてくれる。
神社を外から見てみると、塀が一部だけ途切れ、そこから木が伸びている場所があった。傍らには「みどり保護登録樹林」という看板があった。同神社の樹木が保護登録樹林ということなので、これは大切な木を守るための措置なのだと納得した。
神社近くの潤徳小学校の裏手は向島用水親水路になっており、学校裏手の池では鴨たちが「ガァ ガァ」と群れをなしていた。進水路を抜けて浅川の土手に出ると、もう夕暮れ時だ。高幡橋の向こうの山々に陽が落ち、空には飛行機雲の跡が残っていた。
(2016年12月掲載) 地図
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