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日野駅を降り、高尾方面に2分ほど進むと宝泉寺が見えてくる。何しろ駅のホーム上から境内が見えるほどの近さだ。嘉永6年(1853年)に建てられた、六脚ひのき造りの山門をくぐると、緑に包まれた静寂の空間が広がっていた。
宝泉寺は、臨済宗建長寺派の禅寺で、創立は元徳年間(1330年頃)といわれている。当初は姥久保(現在の新町)にあったが、火災に遭い、その後、現在の地に再建されたそうだ。
両脇に木々の立ち並ぶ参道を進むと、観音堂の左手には墓地があり、こちらでは白い猫がのんびりと散歩していた。ひとまず猫にあいさつし、本堂前へと進む。平成13年に新築されたという本堂はきれいで立派だ。本堂前は植栽が整然と配置されており、美しい庭園風の造りとなっている。また境内の大きく伸びたイチョウの近くには、よく手入れのされた松の木などがあり、心も自然と安らいでくる。駅からすぐの場所に、こうした空間が残されているのは珍しい。
鐘楼脇を抜け、本堂脇の駐車場に面した場所に出ると、「誠」ののぼりと共に、新選組六番隊隊長・井上源三郎の顕彰碑が建てられていた。またここから少し進んだ境内墓地には、井上家の墓所があり、源三郎の墓碑が建てられている。こちらには源三郎を慕う人たちがよく墓参りに訪れるそうだ。
顕彰碑のある緑地内も、植栽がきれいに整えられており、散策路にはお地蔵様や、愛嬌のある狸の置き物などが置かれていた。その先の裏山の雑木林は日野市の保存緑地になっている。雑木林では様々な木々が色付いており、下から見上げると、パノラマに広がる緑のコントラストが目を楽しませてくれる。保存緑地内では清水が湧き出していおり、昔は冬になると、湧き出す水が厚さ1メートルほどの「氷の丘」を作っていたそうだ。
(2014年12月掲載) 地図
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