小さな散歩道

落川遺跡公園 (日野市落川819)

公園の全景。時々近所の人が通りかかる 落川遺跡公園は都営団地の一角にある

円柱の跡
公園の地下にある遺跡を線で囲み色をつけ、金属のプレートをはめた
真明寺

 聖蹟桜ヶ丘駅から国立駅南口行きのバスに乗り、「真明寺」で下車。都道20号を左手に伸びる道を入っていくと、都営・落川住宅の一角に落川遺跡公園があった。

  落川遺跡とは、1977年(昭和52年)12月、都営・落川住宅の建設工事中に発見さた遺跡群で、範囲は隣の多摩市まで広がっており、その面積は700,000u以上にも及ぶ。この都営住宅地内から、竪穴住居約500軒を始め、井戸跡、鍛冶炉跡などが発見された。落川遺跡は古代の大規模で貴重な遺跡として、東京都指定史跡に指定されている。
  都営住宅の一部であるこの公園の地下には、7世紀中頃から10世紀後半の竪穴建物と掘立柱建物が32軒ほど埋もれている。それらの住居跡を線で示し、区画内は赤や青などで色分けして表示。そこにはそれぞれの年代を示す金属板が張られていて竪穴住居址 9世紀前半」などと説明がある。ただ、案内板や色分けされた舗装も色あせており、ちょっと分かりづらいのが残念だ。

  三角形の園内には、ちょっとした植栽とベンチがあるだけで、どこか忽然とした雰囲気が漂う。縦横無尽に色分けされた地面など、なかなか見かけることのない不思議な光景が広がっている。入口左手には、小さな区画が四隅を取り囲むように描かれていて、ちょっとしたミステリー・サークルのような趣が漂う。どうやらこれは建物の柱の跡であるらしい。
  公園自体はさほど大規模なものではないが、歴史好きならこの地に訪れてみる価値はありそうだ。

  公園奥に出ると、目の前を京王線が走っていた。視界を遮るものは何もなく、ごく間近で丘の緑を背に走る電車の姿を見ることができる。傍らには水路がチョロチョロと流れており、「水の町」日野らしい光景だ。

  バス停近くの真明寺に寄っていくのもいい。真明寺は安土桃山時代の慶長年代(1596〜1614年)の創建と伝えられ、静かな境内には弘法大師像や閻魔十王像、水子地蔵尊などが建っている。

(2014年11月掲載)  地図


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