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武蔵境駅南口から「狛江駅北口」行きのバスで「天文台前」で下車。目の前に広がる広大な丘陵地が、国立天文台・三鷹キャンパスだ。
国立天文台は、世界最先端の観測施設を擁する天文学のナショナルセンターであり、全国の研究者と共に
天文学の研究・発展のために設置された施設だ。前進である麻布の東京天文台から1914年(大正3年)〜1924年(大正13年)にかけてこの地に移転した。緑が多く残る構内は大正期の建物も点在しており、一般にも広く公開されている。
構内に入り、入口で受付を済ませる。この際、守衛さんの簡単な説明と共に見学用パンフレットがもらえる。パンフレットには構内の地図が載っているので、これを元に進んでいく。
まず向かったのは第一赤道儀室。こちらは構内最古の建物で1921年(大正10年)に建設されたもの。国の登録有形文化財にも指定されている。歴史を感じさせるドーム内には、口径20cmの望遠鏡が設置されている。この望遠鏡は1939年(昭和14年)から60年間、太陽黒点の観測に活躍したものだそうだ。またこの入口右手には天文台構内古墳があり、立ち入ることはできないが、古墳を少し垣間見ることができる。
次に向かったのは、構内最大のドーム建築である天文台歴史館。こちらも登録有形文化財に指定されている。ここには日本最大口径の65cm屈折望遠鏡が展示されている。焦点距離が10mにも及ぶこの望遠鏡は、間近で見ると本当に巨大な代物であり、その迫力に圧倒されてしまう。またガリレオのレプリカ望遠鏡や、天文台の歴史を紹介したパネルなども展示されており、ここは構内一の展示スポットだろう。
森の中の散策路を進んだ場所にある太陽塔望遠鏡(アインシュタイン塔)や、1930年(昭和5年)に建てられた旧図書庫は、老朽化のため立ち入ることはできないが、あまりの古めかしさにここだけ時が止まっている様であり、ちょっと異様な雰囲気を醸し出している。また、構内には休憩室も設けられているが、観測装置の模型などがある展示室で涼をとるのもいい。この日も大変暑かったが、室内の上映室では映像を楽しみながら体を休めることができた。
子午儀資料館には、時刻の決定と経度測量に使用されていたレプソルド子午儀が展示されており、こちらは国の重要指定文化財に指定されている大変貴重なものだそうだ。その先にある半円形ドームが印象的なゴーチェ子午環を抜けると、木々に囲まれた広大な広場が広がっている。ここは大変開放感にあふれており、一面の緑と抜ける青空が心地よい。この先には天文機器資料館があり、天体の精密観測に使われた機器などが展示されている。
なお、展示物をじっくり見て回ると、2時間以上はかかるので、興味のある方は時間に余裕を持って出かけてほしい。
また4D2Uドームシアターでは、地球から宇宙までの莫大な時空を自由に移動しながら、天文学の最新の観測データや理論的モデルをリアルタイムに視点を変えて観察したり、天文学者が行っている最新の研究を忠実に映像化した、迫力ある立体映像を鑑賞することができる。こちらは大変人気があり、事前申し込み制となっている。申し込みは、インターネットまたは往復はがきで。
国立天文台 三鷹キャンパス (三鷹市大沢2-21-1) ホームページ
■見学コース(常時公開コース)
公開時間/10:00〜17:00 (入場は16:30まで) 自由見学
休館日/年末年始
(12月28日〜1月4日)
※原則として申し込み不要 (団体見学の場合は要事前申込)
※
自由見学の他に、ガイドツアー(月4回)、定例観望会(月2回)、4D2Uドームシアター公開(月2回)
(2013年8月掲載) 地図
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