広園寺 (八王子市山田1577)
京王高尾線の山田駅で下車。線路沿いにめじろ台方面へ歩く。坂を下り、山田会館に突き当たるところで右折。山田川に架かる山田橋を渡ると、目の前に石垣から巨大な杉が姿をのぞかせる広園寺(こうおんじ)が現れる。駅からの距離は徒歩10分といったところ。
広園寺は室町時代初期に創建された臨済宗南弾寺派の寺院。兵火や火災により建物は何度か消失しており、現在残っているものは江戸時代後期に再建されたものだ。総門、山門、仏殿、鐘楼は東京都の有形文化財に指定されている。
都の史跡に指定されている境内に足を踏み入れると右手に整然と立ち並ぶ杉林があり、荘厳な雰囲気に圧倒される。周囲は通学路にもなっている住宅地であるが、境内は静寂に包まれた異空間といった様相だ。 総門、山門、仏殿は南北の直線上に配置されており、仏殿裏手の高台には本堂がそびえている。どの建造物にも派手さはないものの、独特の趣と歴史の重みが感じられる。特に巨大な山門の迫力はなかなかのもので、思わず見入ってしまう。境内一帯はよく整備されており、全体の構造によく気を配った庭園といった雰囲気すら感じさせる。世間の喧騒から離れ、静寂の中に身を沈めるのも悪くないものだ。
広園寺は桜の名所としても知られており、境内の山桜には「準天然記念物・樹齢約三百年」との案内がある。本堂の前では巨大なしだれ桜が枝を揺らしており、春には見事な姿を見せてくれそうだ。またここからは富士森公園へも遠くない。こちらも桜の名所であり、シーズンには露店や夜桜見物などで賑わう。
(2012年4月掲載) 地図