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長沼駅を降りて、北野街道を渡るとのどかな田園風景が広がる。道の脇を小川が流れ、その道にはガードレールがない。手入れされている庚申塚(こうしんつか)から地元の人の信仰心が篤(あつ)いことがうかがわれる。
六社宮へは都立長沼公園入り口手前の道を右に進むと鳥居が見える。六社宮は明治11(1878)年11月長沼村内の各地に鎮座した八剣社、熊野社、日枝社、八坂社、東照宮、五龍社の6社を合祀したもの。地元の人々は親しみをこめて“六社さま”とよんでいる。
階段を上がったところに目的の狛犬を見つけた。大正十二年四月建設と刻まれていた。口を閉じた吽形(うんぎょう)狛犬は左足でまりを押さえきりっとした表情で遠くをにらんでいる。左の子どもを携えている阿形(あぎょう)狛犬のあごは金具で補強されている。よく見ると子どもが親のしっぽの先を噛んでいる。
この六社宮の狛犬を激痛狛犬と評する狛犬愛好家がいる。命名の理由はこうだ。「子どもは最初じゃれていたが、力の加減が分からず、つい親のしっぽを噛んじゃった。噛まれた母親は、あまりの痛さにギャーと悲鳴を上げた。その時、大きく口をあけ過ぎてあごが外れたので、金具であごを補強している」と。前髪が目の上までかぶさり、愛嬌がある狛犬と思うがどうだろうか。
帰りは是非、長沼公園へ。野猿尾根の一角にある峠の小さな美術館というギャラリー(TEL:042-676-4576)や、野鳥囲炉裏料理店「鎌田鳥山」もある。
(2011年5月掲載) 地図
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