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中央線豊田駅北口から多摩平交番前、水道事務所北の交差点を通ってしばらく進むと、巨木の立ち並ぶ緑地に着いた。 入り口には茶色い石製の門が構えている。その左に「多摩平の森ご案内」と題した説明板が立っていた。
それによると、森は「マツボックリの森」「ストーンの森」「遊びの森」「四季の森」と大きく四つに分かれているようだ。 「マツボックリの森」はアカマツ林だそうだが、20メートルはありそうなイチョウやケヤキの大木も生えている。 入り口から奥に向かっている石畳の散策路を、森の中へと進んだ。
30〜40メートル歩くと、目の前に現れたのは、ピッカピッカのとんがり帽子のような円錐形をした物体だ。 高さ2メートル余りか。帽子≠フ下は円筒になっていて、周りには手書きらしい絵が張ってあり、解説文も書かれている。 絵は全部で8枚。1枚目に「多摩平の森と、ある牧師の物語」と書かれている。 昭和29年に起きた洞爺丸事故と、多摩平の森のつながりを紙芝居風にしたとのこと。
「紙芝居」には、カナダで生まれ、日本で伝道活動を努めたストーンという牧師が、故郷を思わせるこの多摩平に拠点を築いたこと、 そして函館での説教の帰りに洞爺丸事故に遭い、亡くなったことが描かれていた。 牧師は自分の着けていた救命胴衣を、まだ着けていない青年に渡した。数日後、ほほ笑みを浮かべたような平和な表情で発見されたという。
(08年11月掲載) 地図
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