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JR日野駅前の甲州街道交差点を右に曲がり、用水路沿いの道を約15分、 青々とした稲が伸びる田んぼの一角に、入り口はあった。それにしても変わった名前だ。 ご飯でも「よそう」ことからついたのだろうか、などと考えながら説明板を見た。
それによると、昭和30年代までこの辺に小高い丘と杉林があり、お稲荷さんが祭られていた。 地域の人はその祠(ほこら)の前で、その年の米の収穫高を予想したところから、 この小高い丘と杉林を「よそう森」と呼んでいた、とある。何と、「予想」からついた名前だった。 予想通り? ご飯に縁はあったが。
それにしても、いま杉林はない。説明板の続きには「都道拡幅の際、杉木立は伐採され、 祠は移動されました」とあった。植えられて間もない樹木が何本か立つだけ。 でも園の中央には、大人の背丈くらいの人工の丘があり、当時の様子をしのばせた。
園の一カ所に、こんこんと水の湧き出る泉があった。大きな石や玉砂利を組み合わせた噴水口は、 渓流を思わせるほど丁寧な作り。子どもや家族連れが澄んだ水に足をつけては歓声を上げている。 水に手を入れてみると、夏にはありがたい冷たさだ。
水は小川となり、公園の中央を貫いていた。流れの中を走り回る小魚や、 それを網ざおで追う子らの姿は、日本の原風景を思わせた。
(2007年9月掲載) 地図
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