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京王線南平駅北口を出て、一番橋を渡り浅川沿いに歩くこと約20分、高く生い茂る林が見えて来た。 土手を降りて林の中に入ってみる。中央に社が建っていた。神社の境内だ。
神社はこぢんまりとして、住宅地に囲まれているものの、周囲に大きな道路がなく、あたりはひっそりと静まり返っている。 ケヤキや杉など、どれも大木ぞろいだが、ひときわ大きく目立つのが、神社の裏手に立つ古木だ。 目の高さにしめ縄が張ってあることから、ご神木らしい。古木の前に、日野市教育委員会の説明板が立っていた。
それによると、古木は市指定天然記念物のムクノキ。樹高約23メートル、目通りの幹回り4・45メートルで、 樹齢は300年以上と推定され、市内で最大のムクノキだそうだ。「形状、樹勢ともに良好」とあるように、 こずえには青葉が茂り、実も盛んにつけているようだ。ドバトやヒヨドリがひっきりなしにさえずり、飛び回っている。 幹に耳をつけて、何かを聞いている人がいた。「音が聞こえる」という。幹を上がる水の音だろうか。 耳をつけてみたが、自分には聞こえなかった。
神社に隣接して公園があった。小規模ながらも、あずまやや、ベンチ、遊具などがある。平日の午後のせいか、人気は余りない。 帰り道、浅川の岸辺の茂みから、素早い動きで水面に飛び込む鳥の姿を見つけた。鮮やかなブルーが目を引く。 1羽のカワセミだった。
(2006年12月掲載) 地図
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