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多摩モノレール万願寺駅を降りて住宅地の中を歩くこと5分余り、「石田寺」と彫られた石製門柱の立つ山門の前に出た。
山門をくぐると、すぐ右手にお地蔵さんが6体並んでいた。赤いずきんをかぶり、赤いよだれかけをしている。合掌したり、数珠を手にしたりしているが、いずれもあどけない児童のようなお顔だ。
その先に、青々とした枝葉を茂らせた大木が立っている。根本に「市指定天然記念物 石田寺のカヤ」の説明板。それによると、樹高は約26メートル、目通り4・2メートル、根元から2・5メートルの高さで3本に枝分かれし、四方に約5メートル枝張りしている。樹齢は400年以上と推定されるとのこと。樹勢は極めて良好、という表示の通り、足元には親指大の青い実がいくつも転がっていた。
「土方歳三の墓 通路右側」という立て札に従って、奥に進んだ。日野市教育委員会が立てた「土方歳三の墓」の説明板がなければ、見過ごしてしまいそうな、ごく普通の墓地だった。正面には「土方家之墓」、その右のやや小ぶりな墓石に「歳進院殿誠山義豊大居士」とあり、その下に見慣れた、洋装の歳三の写真が張ってあった。当地で生まれ育ち、新選組副長となって後に函館で華々しく戦死、遥かなる故郷で眠る歳三が、今なお熱い人気を博しているというイメージとはちょっと違う、静かなひっそりとした墓所だった。
(2006年10月掲載) 地図
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