小さな散歩道

平山八幡神社 (日野市西平山1丁目)

  灼熱の太陽が照りつける真夏のある昼下がり。平山城址公園駅から滝合橋を渡って、見上げるような高い木々に囲まれた神社にたどり着いた。石の鳥居を一歩入ると、左に説明の板が2本立っている。1本に「八幡神社社宝一括(3点)」とあった。八幡神社には三つの宝物が伝わっているようだ。
  その一つ軍配団扇(うちわ)は、一説によると徳川家康が関東に入国して領内を見回った際、同神社に寄進したとのこと。天正年間のことだそうだから、400年もの月日を経ているわけだ。柄に皮で出来た羽がつけられており、漆箔で仕上げられていて銅製の金具で縁取られているという。他の宝物はこの軍配を納めていたと伝えられる袱紗(ふくさ)と、額に納められた墨蹟。この日お目にかかることは出来なかったが、毎年9月の第一土曜、日曜の礼大祭には一般公開されるそうだ。
  境内にはケヤキや松、杉の大木が生い茂り、神社をすっぽりと覆っているようだ。強い日差しもここまでは届かず、涼風さえ吹き抜けて、真夏であることを忘れさせてくれた。湧水を引いたらしい流れもあって、一層涼しさを感じさせてくれる。クロアゲハが、オレンジ色の花の間を飛び交っている。ミンミンゼミ、アブラゼミのにぎやかな鳴き声が、虫たちの天国であることを示しているようだ。バタバタと降りてきたのはキジバトだった。

 

(2006年9月)  地図


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