小さな散歩道

向島用水親水路 (日野市新井町)

 

  京王線高幡不動駅から歩いて約7分、潤徳小学校の裏側に親水路の入り口があった。幅2メートルほどの用水路には数匹鯉の姿が見え、お羽黒トンボがその上を舞っている。水路脇には「向島用水親水路」と彫られた石碑。
  水路沿いの遊歩道を進むと、左手に雑木林が広がっていた。「向島緑地」だ。秋にはドングリ拾いが出来そうだ。林の入り口に立つ説明板によると、用水は一帯の水田を潤していたらしい。用水の南側も戦後、潤徳小学校が移転してくる前は高幡村の水田地帯だったそうだ。用水の上流では、清水を好むというカマツカという魚が見られたとも記している。
  レンガをアーチ型に組んでその上に欄干を載せたような、しゃれた橋をくぐった水路の右手にあずまやがあった。一休みしていた年配の男性に聞くと、いつもはもっと水量が豊富だとのこと。前日接近した台風で増水した、浅川からの水門が閉じられてしまったためらしい。そういえば水流も何となく元気がない。
  遊歩道の終わり近くに水車小屋があった。小屋の中には臼と杵。この日水車は止まっていたが、動いている時はモミでもつくのかも知れない。小屋の近くにあった「水車虎の巻」と記された案内板には「生きた文化遺産として次の世代に伝えるとともに、新たなコミュニティーの場として利用されることを願っている」と書かれていた。

(2005年10月掲載)  地図


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