小さな散歩道

熊野神社(目黒区自由が丘1-24-12)


熊野神社参道入口

自由が丘誕生の祖と言われる栗山久次郎の像

境内は高木が多く、緑豊かな神社だ

稲荷神社

沢山の「お願いきつね」


熊野神社の拝殿

 自由が丘駅の中央口から都立大駅方向の線路沿いに伸びる女神通りを進む。踏切の見える交差点を左に入ると、緑豊かな熊野神社に着いた。駅から徒歩5分ほど。
  熊野神社の創建年代は不詳だが、鎌倉時代以前と伝えられており、古くから「谷畑の権現さま」として親しまれてきたという(「谷畑」とは、このあたりのかつての字名)。

 境内に入ると、二の鳥居の左手前からはマツがニョキっと伸びていた。鳥居の先には、シーソーとロッキング遊具が設置された児童広場があり、近くには公衆トイレもある。この地の鎮守ということもあり、地域の人々に開かれた境内といった印象だ。

 朱色の三の鳥居をくぐると、右手には明治期にこの地の村長を長年務めた栗山久次郎(1853〜1934)の銅像がある。栗山久次郎は、自由が丘駅の誘致に尽力し、この地の地名を「自由ヶ丘」(1947年以降、自由が丘という表記が一般化)に改名することを決断した人物であり、「自由が丘誕生の祖」として知られているという。

 石段を上ると、参道の先に朱色を基調とした拝殿が見えてくる。拝殿の手前は庭園風に整備されており、拝殿の背後から伸びる緑と朱色のコントラストがなかなか美しい。また、拝殿手前にある手水舎には、熊野神社にゆかりのある八咫烏(やたがらす。熊野信仰において重要な役割を果たす三本足のカラス)がマスの中にちょこんと鎮座していた。


手水舎の吐水口に施された八咫烏

 拝殿の右手には、境内社の稲荷神社がある。こちらには厳しい表情をした狛狐が構えられていた。古めかしい社殿の脇には、願い事を記した沢山の「お願いきつね」が並べられており、狐づくしの一角となっていた。

 稲荷神社の左手からは、熊野神社の裏手に出る道が整備されている。神社の裏手にはご神木である「夫婦松」が高く伸びている。これは、黒松(男松)と赤松(女松)が寄り添うように伸びているため、「夫婦松」と称されているという。「夫婦松」が一般公開されるようになったのは近年のことのようなので、一度は訪れておきたいスポットだ。

 拝殿手前の社務所では、さまざまなおみくじや絵馬が並んでいた。なかでもお守りは、フクロウが描かれた「家内安全御守」や、招き猫が描かれた「招福御守」など、数多くの種類がある。好みのものを記念に買っていくのもいいだろう。

(2025年8月掲載)  地図


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ