小さな散歩道

御嶽神社(大田区北嶺町37-20)


大田区の文化財に指定されている本殿


本殿の壁面には見事な彫刻が施されている

一山行者が行水をしたと言われる杜の霊神水


鳥居の右にある御嶽神社とかかれた社号標が大きい

 池上線の御嶽山(おんたけさん)駅下車、踏切を渡って商店街を徒歩1、2分。大型スーパーの角を右折すると、鳥居よりも大きな「御嶽神社」と彫られた社号標が目にとび込む。鳥居をくぐるとイチョウやサクラの高木が作る緑陰がさわやかな風を運んでくる。商店街と住宅街に囲まれた駅の近くに、こんなに空間があるとは驚く。


拝殿

 「嶺(みね)のおんたけさん」として昔から親しまれている神社だ。神社が生まれたのは、嶺村(現嶺町地区)ができた天文4(1535)年頃らしい。その後、天保年間(江戸時代後期)に木曾御嶽山(長野県)の修験者・一山(いっさん)行者によって、天保2(1831)年に現在の社殿が建立され御霊が遷座された。「嶺の御嶽神社に三度参拝すれば、木曾御嶽山へ一回行ったのと同じ」と言われていて、関東一円から木曾御嶽山を信仰する信者たちが多数訪れた。

  本殿前の「本殿大彫刻、この先奥」の看板に従って本殿裏手に回る。本殿は大田区の文化財になっている。本殿の背面、側面に浦島太郎・養老の滝など和漢の物語や故事にちなんだ彫刻が施されていた。
  大田区教育委員会の説明板によると、本殿は天保2年の建築で建物も周囲の彫刻も藤原篤意(とくおき)によって制作され、柱間、縦約160cm、横約130cmの刻面を有するとある。その彫刻は精妙で180年以上前のものとは思えないほどきれいだ。お祭りに参拝した折には是非、本堂の背面に回って、この彫刻のすばらしさを見てほしい。

  そのほか、「夫婦松」として崇敬を集めている樹齢四百年の2本の黒松、神社を創建した一山行者を祀った一山神社祖霊社、今でも神職や嶺嶽会、嶺の樹会が神事・行事前に禊場として使っている水行堂、そして神社境内地奥には「霊神の杜」と名付けられた鎮守の森もある。

■例大祭 

9月23日(土)、24(日) (2日とも屋台も出る)
23日/子供おみこし・山車=10時より(受付9時30分より)
    女おみこし=17時30分より(受付16時30分より)
24日/大人おみこし=12時より

(2023年9月掲載)  地図


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