小さな散歩道

おいと坂 (大田区田園調布本町24と25の間)


坂上の標柱

東光院の横には六郷用水を復元した水路が流れる

中央に東光院を見る。 左手前がおいと坂の上り口


おいと坂下

 東急多摩川線沼部駅北側。桜坂通りを進み、東光寺の北東の角を東に向かうわずか200メートルの坂がおいと坂。住所では田園調布本町24番と25番の間の坂道を指す。穏やかな坂で高低差はわずか4メートル、平均斜度は1・1度とか。

 坂下と坂の上の左に「おいと坂」と書かれた標柱がある。 標柱の『大森区史』にある伝説によれば、北条時頼(ほうじょう・ときより=鎌倉時代中期の武将)がこの地を訪れた際、雄井戸(おいと)と、雌井戸(めいと)の井戸水により病をいやしたと言われており、おいと坂は、この「雄井戸」に由来するのであろう、と。

  現在は住宅街の中にあり、目立たないまっすぐな坂道となっているが、耕地整理以前は、竹やぶの中の急な曲った坂道だったと伝えられている。六郷用水を家康が構築したのが1600年代初めなので、その頃から人通りの多い界隈だったのだろう。
  一説によると、明治初期の地図には坂上に鳥居マークがあったが、関東大震災以降の地図にはなく、雄井戸、雌井戸の場所は分からず、謎の多い坂という人もいる。

  坂上近くから武蔵小杉のビル群を遠くに眺めながら下る。下ったところには六郷用水の跡がある。左に折れると密蔵院があるが、右に曲がって沼部駅に戻った。

(2022年7月掲載)  地図


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