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東急東横線元住吉駅西口を出て、長いエスカレーターでおりると左にグリム童話の「ブレーメンの音楽隊」像が目に飛び込んできた。ロバに犬が乗り、猫が乗り、いちばん上はニワトリ。よく見ると全員がマスクをかけている。
「ブレーメンの音楽隊」というとグリムが書いた同じ名前の童話を思い出す。年老いた動物たちが、貿易港であるブレーメンに職を求めて向かい、力を合わせて居場所を見つける話だ。「高齢者にも安心して楽しんでもらえる商店街にしていこうという意味も込めた」と同商店街振興組合事務局の平本保さんはいう。
この像は2012年に西惇夫さん(北海道にある農村休暇村フェーリエンドルフオーナー)から寄贈されたもので、1988年ドイツ・ブレーメン市にある「音楽隊」像から型を取って制作したものという。だからブレーメン市にあるものと同じ作りというわけだ。プレートの最後に「ロバの両足首を両手でさわると、幸せがおとずれるという言い伝えがあります」とあったので、両手でロバくんの足を握って左にのびる商店街に向かった。
商店街の名前は正しくは「モトスミ・ブレーメン通り商店街」(約550メートル)で加入店舗数約180店舗。平日でも人が多く、にぎやかだ。中頃に「コミュニティーセンター」があり、2階に同商店街の事務所があった。
500メートル続くブレーメン通り商店街
話を聞くと、同商店街は以前は「元住吉西口商店街」と言ったが、1989年モール化事業が「中世ヨーロッパのロマンと語らい」というコンセプトのもとに行われ、商店街名もブレーメン通り商店街に。でもこれだけではどこにある商店街か、分からないので、頭に「モトスミ」を付け翌年「モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合」ができた。1991年3月には、ドイツ・ブレーメン市にある商店街ロイドパサージュ(商店街)との友好提携に合意し、以後交流が今日まで継続しているという。
「コミュニティーセンター」の前に小ぶりの「ブレーメンの音楽隊」像があった。プレートを見ると「ドイツ自由ハンザ都市ブレーメン市とパートナー商店街のロイドハザージュより寄贈された」(1998年)とあった。
ドイツにある「豚飼いの像」のレプリカ
帰りに川崎信用金庫横にある「豚飼いの像」を見る。ドイツ・ブレーメン市のロイドパサージュに面したゼーゲ通りに設置されているもののレプリカという。ドイツでは豚は子孫繁栄、金運に恵まれるという縁起がいい動物とされているとか。元住吉駅御前のブレーメンの音楽隊像と同じ西さんの寄贈による。 子どもたちが豚や犬の背中に乗って遊んでいる風景を見てほほえましく思った。
帰りは、駅の近くにある住吉神社に手を合わせて、商店街を去る。
(2021年6月掲載) 地図
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