小さな散歩道

多摩川台公園 (大田区田園調布1丁目)


公園の西側に隣接する浅間神社

公園内の遊歩道も、実は古墳の上

玉音放送時、内閣情報局総裁だった下村宏氏のレリーフ

大田区平和都市宣言の平和の像「愛し子」


多摩川堤通りの公園入口

 東急多摩川線の多摩川駅からすぐのところにある、多摩川沿いの丘陵地に約750m続く多摩川台公園。晴れた日には富士山の眺望や、春は桜、初夏はあじさいなどが楽しめる公園として知られている。富士山が見えなくても、公園のある台地は武蔵野台地の南端部にあたり、国分寺崖線に位置するために多摩川との高低差は大きく、公園から川を見下ろす眺めは「多摩川八景」に選定されている。
 
  公園に入る前に、西側に隣接する浅間神社へ。境内にたどりつくまでに、急勾配の階段をのぼる。セミの鳴き声を聞きながら境内に到着。お詣りしてから境内の展望台へ。ここからも多摩川や鉄橋が一望できる。
 
  多摩川と並行して通っている多摩川堤通りに出て、100mほど先のバス停のところに公園入口がある。多摩川台公園のいちばんの特徴は、2基の前方後円墳と8基の小型の古墳があることだ。
  国指定史跡亀甲山古墳、東京都指定史跡宝莱山古墳と、8基からなる多摩川台古墳群がある。
 
  亀甲山古墳は全長107m。古墳時代前期の築造と考えられ、この地方に勢力のあった首長の墓と推定されている。発掘調査が行われていないので詳細は不明だが、19287年(昭和3年)に国の史跡に指定された。港区芝公園内にある丸山古墳と並ぶ都内の代表的古墳だ。
  亀甲山古墳は柵で囲まれて入ることはできないが、宝莱山古墳には登ることができる。というより、公園の一部、公園の東端(田園調布駅側)が宝莱山古墳なので、遊歩道を歩くことが古墳の上を歩くことになる。
 
  8基からなる古墳時代後期の多摩川台古墳群は、公園内の遊歩道の中に並んでいて、1号墳から8号墳まで、各墳には墳号を示すプレートが設置されている。また、古墳群の詳細や分かりやすい地図のある案内板があるので、その情報を頼りに古墳を見つけながら歩くと、ちょっとしたオリエンテーリング気分が楽しめる。
 
  また、園内の海南亭には、1945年8月15日の玉音放送の時の内閣情報局総裁で、本放送の前後に言葉を述べ、晩年を田園調布で過ごした下村宏氏のレリーフがある。
  同じく運動広場には、大田区の「平和都市宣言」と「平和の像・愛し子」がある。1984年(昭和59年)8月15日「……大田区は平和憲法を擁護し核兵器のない平和都市であることを宣言する」とあった。 

(2017年9月掲載)  地図


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