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(左) 渓谷の入口。急勾配の階段を下りると別世界が広がる (右) 渓谷を散策できる遊歩道
東急大井町線の等々力駅から徒歩3分の、東京23区内唯一の渓谷。渋谷から20分という都会の真ん中に、こんな自然豊かな場所があることに驚かされる。
駅の改札口を南側に出ると「等々力渓谷公園」の案内板もあるので、地図を持っていなくても心配ない。交通の便もいいので、ちょっと時間ができた時にふらっと立ち寄れる。
等々力商店街を100mほど南へ、1つ目の交差点を右折した先に「ゴルフ橋」がある。橋の反対側、道の左手にはちょっと休憩出来る場所もあり、散策前に一息入れることもできる。橋の右側が渓谷の入口になっていて、急勾配の階段を下りて行くと、ここが東京都内とは思えない、深い森の中に迷い込んだような別世界が広がっている。
武蔵野の代表的な植生であるケヤキ、コナラ、ヤマザクラなどの樹木が鬱蒼と生い茂り、地面にはベニシダなどの湿生植物も生えている。これからの紅葉シーズン、渓谷を流れる谷沢川のほとり、全長約1kmの遊歩道で紅葉狩りが楽しめそうだ。
「ゴルフ橋」は昭和のはじめ、等々力村に東急電鉄が開発した広大なゴルフ場があったことに由来する。遊歩道から頭上の大きな赤い鉄橋を見上げると、渓谷の緑と橋の赤のコントラストが印象的で、人気写真スポットのひとつ。
遊歩道半ばの少し脇に入ったところに、古墳時代末期から奈良時代の頃の横穴墓である「等々力渓谷第三号横穴」や、地名の由来にもなった「不動の滝」がある。また、遊歩道からは少し離れるが、近くには玉川野毛町公園や野毛大塚古墳もある。遊歩道途中に標識が出ているので、時間と体力に余裕があれば、一旦コースを外れてちょっと足を伸ばしてみるのもいい。また、途中に峠の茶屋ならぬ渓谷の茶屋(甘味処「雪月花」)もあり、もし歩き疲れたら一服してもよさそうだ。
遊歩道南端部に1,300年の歴史を誇る「等々力不動尊」がある。等々力万願寺の別院で、正式には龍轟山(りゅうごうさん)明王院という。最近、縁結びにご利益があると新たなパワースポットとしても人気だ。境内にはコーヒーやソフトクリームが食べられるお休み処も。
「等々力」の地名は、不動の滝の音が響き渡り『轟いた』ところからついたと言い伝えがある。等々力不動尊の敷地を含む渓谷一帯約3.5ヘクタールの区域は、1999年3月に東京都文化財保護条例によって「名勝」の文化財指定を受けた。紅葉の等々力渓谷も見もの。出掛けてみませんか?
(2016年12月掲載) 地図
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