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勝利八幡神社本殿
京王線桜上水駅南口を出て、線路に沿って少し戻る。踏切と交差している道路が、全長約10kmの「荒玉水道道路」だ。道路の下には水道管が埋まっていて、昭和3年に道路が完成した当時は、水道管を保護するため車や馬の通行が禁止されていたという。現在も総重量4トン以上の車両は通行できない。
そんな荒玉水道道路を南へ10分弱、桜上水交番前の交差点を左折、上北沢八幡公園隣に「勝利八幡神社」がある。
御利益のありそうな名前に惹かれて行ってみた。境内はきれいに掃き清められており気持ちがいい。区の保存樹木になっている大木のイチョウやモミジが何本もある。ツツジがちょうど最後の見頃を迎えていた。
神社の歴史は古く、平安時代の1026年、京都の岩清水八幡宮より勧請された。御祭神は譽田別命(ほんだわけのみこと)で、戦いから帰ってきた馬上の姿をあらわしていると伝えられている。鳥居を入って右手にある旧本殿は、江戸時代中期の1788年に再建されたもの。現在、世田谷区有形文化財に指定されており、区内に残る本殿(神社建築)では最古のものだそうだ。
1968年(昭和43年)に再建された新本殿に向かって右側、旧本殿と並んで、天祖神社と豊受稲荷神社も配置されている。
勝利神社は旧上北沢村、現在の上北沢と桜上水を合わせた地域の村社だった。かつては台風の被害に遭わないように祈る風祭りや神社の祭礼が9月に行われていたが、今は10月の体育の日辺り、巫女神楽などの奉納演芸が行われている。
神社の名前の由来は、勝利祈願をして日露戦争に出征した氏子が無事に帰ったから、という説も。現在は必勝祈願や勝運向上を願って、スポーツ関係者の参拝も多いらしい。近くに日本大学スキー部・陸上競技部の合宿所があったが、選手の皆さんも試合前にはお参りするのかも、などと想像した。
また近くには、江戸時代に勝利神社の別当を務めていた、1598年創建の密蔵院(幽谿山観音寺)という真言宗の寺院がある)。本堂脇に水琴窟がある境内は、おごそかな雰囲気に満ちていた。
(2016年6月掲載) 地図
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