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(左) 記念館入口 (右) 書斎に飾られた近世日本国民史
明治から昭和にかけて活躍したジャーナリストであり評論家の徳富蘇峰。彼の旧宅の一部とゆかりの資料を保存・公開しているのが山王草堂記念館だ。
大森駅西口・北口(山王口)から約15分。ジャーマン通りのバス停「山王二丁目」から1ブロック先に緑色の案内板がある。尾崎士郎記念館や蘇峰公園と一緒に矢印で道案内が表示されてるが、大通りから一本入ると閑静な住宅街になり、目標物がほとんどないので、住所を頼りに行ったほうがいいかもしれない。
館内には、移築された旧宅2階部分の居間と書斎が公開されている。たくさんの書籍や資料が積まれている書斎の文机は、よく見ると馬蹄形になっている。蘇峰は、一度に3本の原稿が書けるように、馬蹄形の輪の内側に座り、ひとつの原稿を書き疲れると、体の向きを90度回転させて、次の原稿、また次と書いていったそうだ。
蘇峰は日本で最初の総合雑誌「国民之友」を発行、続いて「國民新聞」を創刊した。また、56歳の時に執筆を始め90歳で完成させた「近世日本国民史」全100巻は、世界最大の著作としてギネスブックに記載されている。館内には98巻の中途から100巻までの2かんはんを除き、原稿用紙にして17万枚の蘇峰の直筆の原稿が展示されている。
2013年放映のNHK大河ドラマ「八重の桜」の番組中、「新島襄ゆかりの地を訪ねる」コーナーで、この山王草堂記念館が紹介された。入口脇にある「カタルパ(アメリカ原産・ノウゼンカズラ科)」の木は新島襄がアメリカから持ち帰り、蘇峰に贈ったカタルパの種子から成長したもので、現在の木は3代目とか。
カタルパの花は5月中旬に10日間ほど可憐な白い花を咲かせる。雨、風、水に弱く、昨年はあいにく開花直後の悪天候ですぐ散ってしまった。今年は天候に恵まれることを期待したい。
同館は蘇峰公園の中にある。庭には池や東屋、古塚や馬頭観音もあり、ちょっとした散策も楽しめる。章には紅葉がきれいだそうだ。
(2016年5月掲載) 地図
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