小さな散歩道

松竹キネマ蒲田撮影所跡地 (大田区蒲田5丁目)

 
(左) ビル壁面の松竹撮影所スケッチ  (右) 松竹撮影所ジオラマ


さかさ川通り(アプリコ側から)

松竹橋レプリカ

松竹橋の門柱

 JR蒲田駅東口から徒歩3分、道案内の標識があるので、その矢印通りに進めば、大田区民ホール「アプリコ」にはすぐ到着できる。 近代的な建物でニッセイ・アロマスクエアと、ツインタワーのように立っているからすぐに見つけることができた。

 駅からの標識通りに最短ルートで行くのも良いが、時間があればちょっと迂回して、蒲田駅東口商店街「ぽぷらーど」のアーケードを通って行くのも面白い。 蒲田駅東口から京急蒲田駅方向へ向かう道だ。
  大きな信号のある蒲田5丁目の分かれ道を京急蒲田駅方向へ。2つ目の脇道を右折すると、ちょっと蛇行した小道がある。 これがさかさ川通りだ。かつてここにあった六郷用水の支流が流れていた旧逆川道路が、蒲田駅周辺の土地区画整理事業の再開発(1998年竣工)で回遊路として生まれ変わった。通りの終わり、角にあるビルの壁面に、かつてここにあったの松竹撮影所全体像がスケッチ風に描かれている。この通りの先が、アプリコホールだ。

 ここにはかつて、松竹キネマ蒲田撮影所があった。1920年(大正9年)から1936年(昭和11年)まで、大船に移転するまでの17年間に約1200本の映画が製作された。当時の蒲田周辺には俳優も多く住み「流行は蒲田から」と言われるほどの華やかさと活気にあふれ、「キネマの都」として全国にその名を知られていたそうだ。

 敷地内のフォーマルガーデン(西側)に、かつて撮影所の正門前を流れていた逆川に架かっていた松竹橋のレプリカがある。今、この場所は喫煙所にもなっているようだが、植え込みにかこまれていてあまり目立たない。
  アプリコ1階ホールの左側、ニッセイアロマホールへの入口にもなっている自動扉の前にも、松竹橋の門柱が置かれている。この門柱は、戦中戦後の混乱を経て、もはや現存しないと思われていたが、鎌倉在住の人が戦後ずっと保管していたものを、蒲田駅周辺再開発を機に、大田区に寄贈したものだそうだ。
  また、アプリコ地下ホールのロビーには松竹撮影所のジオラマがある。撮影風景なども再現されていて面白い。大船の鎌倉シネマワールドに展示されていたのを、1999年松竹株式会社から大田区へ贈られたものだそうだ。

(21016年2月掲載)  地図


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