小さな散歩道

世田谷美術館(世田谷区砧公園1-2)

緑豊かな砧公園 世田谷美術館

 緑豊かな砧公園の一角にある世田谷美術館(1986年3月開館)を訪ねる。東急田園都市線「用賀駅」北口から徒歩17分。敷き詰めた瓦に刻まれている百人一首を詠みながら歩くと17分も短く感じられる。

  ちょうど「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美」が開催中(9月15日まで)だった。

  19世紀後半から20世紀初頭にかけて、西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行した。大胆な構図と色使い、独特の装飾模様が西洋の美術家の美意識に変革をもたらし「ジャポニズム」という現象が生まれたと解説があった。
  本展は初期ジャポニズムを代表とするクロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」をはじめ、ボストン美術館所蔵品から絵画、版画、素描、写真、工芸など150点を展示。

(右) クロード・モネ 《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》 1876年
(左) フィンセント・ファン・ゴッホ 《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》 1889年


エドヴァルド・ムンク 《夏の夜の夢(声)》 1893年
  マネ、ドガ、ロートレック、カサット、ゴーギャン、モネ、ゴッホ、ムンクなど印象派の画家たちの名品とその作品に影響を与えたであろう日本の浮世絵や版画を並べて、具体的にわかりやすく展示してあるところがいちばんの見所。たとえばゴッホの「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」と歌川国定、広重の「当盛十花撰 夏菊」を並べて展示してある。見るものにパターン化した背景、仮面のような顔など共通点が分かり、浮世絵がゴッホに与えた影響が具体的に感じられる展示内容になっている。
  もうひとつの見所、モネの「ラ・ジャポネーズ」は1年の修復後、色鮮やかによみがえり世界初の公開だ。また、俳優・長谷川博己の語りが入る音声ガイド(500円)も魅力。

セタビカフェのテラス  帰りに地下の「セタビカフェ」で看板メニューのガレットを楽しむのもいい。
  展示場は展示作品保護のために室温が低めに設定されているので、ショールや羽織るものを持っていくことをおすすめ。

★用賀駅と美術館の直行バス運行
  開催中は用賀駅バスロータリーから世田谷美術館までの直行バスを休館日を除く毎日運行(100円)している。

■世田谷美術館 (世田谷区砧公園1-2)

開館時間/10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日/月曜日(祝日の時は翌日)
      年末年始(12月29日〜1月3日)
料金/一般200円、大高生150円、小中生と65歳以上100円
   ※小中生は土曜、日曜、休日及び夏休み期間は無料。
問合せ/TEL 03-3415-6011

(2014年8月掲載)  地図


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ