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かつて流れていた蛇崩川にふたをしてできたのが蛇崩川緑道だ。先月紹介した小泉公園近くから、下馬1丁目までの約3kmを2回に分けて歩く。
水源は旧鶴巻村で、旧上馬引沢村から旧下馬引沢村を流れ、目黒区で目黒川に合流する小さな川だった。大蛇が暴れたような荒々しい川からこの名前が付いたのかと思ったが、流れが赤土の地層を崩したように蛇行しているところからつけられたとか。
田園都市線の駒沢大学駅から徒歩10分、小泉公園へ。きれいに掃き清められた緑道には、赤と白のサザンカ、サーモンピンクの濃淡が美しいボケ、真っ赤な実をいっぱいつけたピラカンサスなど、季節ごとの花が楽しめる。緑道沿いにはいくつかの公園があり、歩いた日が日曜日だったからか、世田谷円山公園には子どもたちが元気よく遊んでいる姿が見受けられた。
環状7号線と国道246を超えて、三軒茶屋病院の脇から再び緑道へ。階段を下りた左に小さな祠があり、鳥居に「伊勢丸稲荷大神」と書いた札がかかっていた。曇天のこの日、最後まで雨が降らないようにと手を合わせる。
この辺りは緑道も狭く、民家の裏口や窓の下を歩くのもおもしろい。やがて道幅は広くなり、駒留中学校の前に出た。緑道側に正門があるということは、昔の生徒さんは橋を渡って学校に通ったことになる。
やがて緑道をふさぐように赤い橋が見えてきた。「上に上がるとイチョウの落葉がきれいですよ」とお参りを済ませた女性が声を掛けてくれた。階段をのぼると、大きな鳥居、立派な社殿、神楽殿が鎮座していた。
平安時代後期に源頼朝が、奥州の藤原泰衡を征伐するために大軍を率いて鎌倉を出発し、ここ世田谷郷まで来て、武運を祈るため馬から降りて松の木に愛馬を繋いで参拝した。そのことから「駒繋神社」の名がついた。
駒沢2丁目から駒繋神社まで歩いた前回の続きを歩く。
東急東横線祐天寺駅から徒歩15分。渋谷駅からバスで「下馬1丁目」で降りると5分と近い。新年のお参りの人が訪れる同神社の朱橋から東へ。緑道脇の駒繋公園は2月中旬(予定)まで遊具の改修工事中だったが、トイレ、ブランコ、ベンチは使える。どんな公園にリニューアルするのか楽しみだ。
緑道はどこも掃き清められ、花壇にはハボタン、パンジーなどが植えられ、地域の人々の温かい気持ちが伝わってくる。
蛇崩川が道と交差する地点はかつて橋がかかっていた。そこには記念として橋の名前を書いたものが近くの柵に貼ってある。
大石橋と書かれた場所近くの緑道の真ん中に囲いがしてある施設があった。囲いの中をのぞくと水がゴーッと流れる音がした。「立入禁止」の看板には東京都水道局の名前が入っていた。緑道の地下には下水道の幹線が通っているということが分かった。
足毛橋の表示を過ぎると緑道は団地の中に。道幅が広くなり、花壇には赤やピンクのかわいいシクラメンがいっぱい。六畝橋、平川橋と表示が続き、大下橋の先で目黒区に入った。
緑道の敷石がグレーとピンクのモザイクだったりしてモダンだ。左に中目黒駅を見ながら山手通りを渡る。目の前を流れる目黒川の手前で緑道は終わる。目黒区を通っている部分は1キロメートルほどだそうだ。
目黒区の看板に蛇崩川の由来がいくつか書いてあった。
――この川に大蛇が出て暴れたという言い伝え、川岸の切り立った崖が洪水のたびに崩れて被害をもたらし、その恐怖心から大蛇伝説が生まれた、大雨で荒れる川面が大蛇ののたうつ姿に似ている、辺りが砂利の土壌でよく崩れたので砂崩川といわれ、それが蛇崩川になった、など諸説あっておもしろい。
帰りは中目黒駅を利用した。
(2014年1〜2月掲載)
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