小さな散歩道

六郷用水遊歩道 (沼部駅から多摩川駅へ)

用水沿いの緑陰の中を歩くのは気持ちいい 曲線に心が和む  店自慢で取材したカフェ・リーゼの帰り、再現された六郷用水脇の遊歩道を散策した。 この散策路は鵜の木駅近くから沼部、多摩川駅手前の中原街道のトンネル手前までの2,140メートルの長さ。 今回はその西側の部分で昭和63年(1998)に手づくり郷土賞(ふるさとに恵みを与える川)に輝いた沼部駅から中原街道のトンネルまでを歩く。

  六郷用水は多摩川の水を和泉村(今の狛江市和泉)で取り入れて世田谷を経て、大田区に流れていた。 全長約30キロメートル。その南堀の一つが六郷領の村に分水されていた。 江戸時代初め、六郷領の灌漑目的で、幕府代官小泉次太夫により14年という年月を費やして造られた農業用水路で、 米作りに灌漑は欠かせないものだった。玉川上水の完成より半世紀も早くにこの大規模工事が行われていたとは驚きだ。

足踏み水車(ジャバラ) 30cm以上もある緋鯉、真鯉 多摩川駅近くの藤棚

 沼部駅北口から桜坂に向かってちょっと歩くと東光院にぶつかる。南西の角から六郷用水の水の流れが地表に現れ、涼しさを運ぶ。 かたわらに「ジャバラ」と呼ばれる足踏み水車の模型があった。かつて六郷用水流域の水田では、 早春や干ばつの時、水が少なくなった時、羽根を足で踏んで回転させ、田に水を揚げていた。 東光院の建物とマッチし、和風の趣を醸し出している。せせらぎは人工のもので、 ポンプで水を循環させているが、途中に流れ込む湧水があり自然に近い形だ。

東京名水57選の札  「東京の名湧水57選」と書いた碑があり、流れには体長50センチ以上もある緋鯉、真鯉を見ることができる。 終点近くには藤棚もありベンチで休む人がいた。多摩川駅前の田園調布せせらぎ公園で一休みして帰路についた。 

■近くの多摩川浅間神社の「神幸祭大神輿(みこし)」が6月7日(宵宮祭)、8日(例大祭)、9日(神幸祭)と開かれる。 9日は神社の大神輿が町会渡御をする。出輿(みやだし)は8時半。入輿は19時。

(2013年6月掲載)


小さな散歩道 目次へ 前へ  次へ