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昨年秋から冬にかけて放映されたテレビドラマ「南極大陸」がきっかけで南極が話題になっている。東急多摩川線の鵜の木駅から徒歩3分。第一次南極越冬隊長・西堀榮三郎邸を訪ねる。
石段を登ると、大きなヒマラヤ杉(樹齢80年)がそびえる。1937年に榮三郎氏(1903-89)自身が設計して建てた山小屋風の家。現在、同邸宅は一般社団法人 第一次南極越冬隊長西堀榮三郎邸「人生にロマンを求める会」が運営・管理している。その代表理事で、三男の西堀峯夫さん(理学博士)が出迎えてくれた。「近所の人の憩いの場になってほしい」と邸宅を公開している。
榮三郎氏は京都に生まれ、京都大学の学生時代、日本アルプスの登山で活躍。探検家でもあり、1957年から始まった日本の南極観測隊では、54歳で初代越冬隊長をつとめた。
玄関にはニホンカモシカの頭の骨、ペンギンの頭部のはく製が飾られている。すぐ右の和室の先にはテラス付きの洋間がある。その隣室は暖炉付きの居間と食堂。食堂と台所は合理的に両側から使えるようにハッチでつながっている。当時としては斬新なスタイルだ。暖炉は西堀氏自ら制作したものという。庭ではバーベキューができるようになっていて都心にありながら山の別荘という趣きだ。2階はベッドルーム(3室)で、B&B(朝食付き宿)形式で宿泊できる。
探究心の塊で、自在な発想の持ち主だった榮三郎氏が暮らした居間で、思索にふけるのも楽しい。また、お父様の話を峯夫さんから直接うかがえるのもうれしいことだ。記念に榮三郎氏の語録を集めた「西堀かるた」を買って帰った。「思いもよらぬことは起こると思え」「体験で生きた知識を」「勇気を持って挑戦を」など。一言一言含蓄がある。
■ご案内
第一次南極越冬隊長 西堀榮三郎邸
住所/
大田区鵜の木1-20-1
開邸時間/10:00〜17:00 (入邸は16:30まで)
閉邸/月、火曜日 (祭日の場合は翌日)
料金/大人500円、小・中学生250円
※催事に部屋を利用する場合や宿泊についてはお問合せをTEL 03-3750-3917
(2012年2月掲載) 地図
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