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文学を体験できる空間――世田谷文学館を訪ねる。京王線芦花公園駅南口から徒歩5分。立派な土塀に囲まれた建物の隣が同文学館だ。
ガラス張りのロビーから泳ぐ鯉の姿をながめることができる。1階中央は文学サロンと呼ぶスペースで、講演会、映画の上映などが行われる。
常設展示室の一室「ムットーニのからくり書物」劇場で、世田谷区ゆかりの詩人・萩原朔太郎の短編小説「猫町」を観た。
ボックスの扉が開くと、舞台の真ん中にステッキを持った紳士の人形が登場。「街のあちこちからあらわれる猫。
そこには人の姿はなく、猫ばかりであふれ返っていた」とムットーニ(武藤政彦)氏の語りが流れる。人形が音と光にあわせて回転する。
人形作りから音楽、語りの構成、語りと、すべてムットーニ氏がひとりで製作している。たった6分で観客を幻想の世界に引きこんでいく力はすごい。
さっそく「猫町」を読んでみたくなった。ムットーニ氏の作品は全部で7作品ある。
隣室では多数の文学作品の舞台になってきた世田谷の町を紹介。世田谷ゆかりの作家の原稿、初版本、書簡、遺品もあり、興味深い。
■世田谷文学館 世田谷区南烏山1-10-10
問合せ/TEL 03-5374-9111
開館/10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館/月曜(祝日の場合その翌日)、年末年始
料金(常設展示)/一般200円、高大生150円、小中学生・65歳以上・障害者100円
(土日祝は小中学生の常設展示観覧無料)
(企画展示は内容によって異なる)
(2010年10月掲載) 地図
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