小さな散歩道

世田谷代官屋敷 (世田谷区世田谷1丁目)

表門 南の庭から見た主屋

 東急世田谷線上町駅から徒歩5分。通称ボロ市通りの中ごろにある。大名領の代官屋敷として都内に唯一残る建物という。都史跡に、表門と主屋は国の重要文化財に指定されている。
  同代官屋敷はもともと代官の陣屋として建てられたのではなく、この地の名主であり、彦根藩井伊家の世田谷領20ヶ村の代官を世襲した大場家宅を役所とした邸宅兼用の代官所だった。大場代官屋敷とも呼ばれた。茅葺屋根、寄棟造りの表門と主屋は代官所としての特徴も見られるが、江戸中期の豪農の邸宅としての形態をよく伝えているという。
  門の脇にある入り口から敷地内に入る。ケヤキ、サクラ、カリンなど緑豊かな庭は風が通り涼しい。
  主屋は大きな土間があり大戸をくぐり南北の通り抜けが出来る。座敷部分(7部屋)は入室できないが、戸が開け放たれているので間取りなど室内の様子はうかがうことができる。庭に白洲跡や白洲への出入口があり、お代官屋敷であることを実感する。
  同敷地内にある世田谷区立郷土資料館に寄った。大場家の資料コーナーで、十代弥十郎景運は天明飢饉の影響などで荒廃していた村々の復興に大きな功績をあげ、文政13(1830)年、士分に取り立てられている。庶民にやさしいお代官様だったようだ。ビデオブースで「桜田門外の変と世田谷――大場美佐の日記が語る大老井伊直弼の死」と、「玉電――田園都市世田谷の郊外電車」を鑑賞。帰りに同区立教育センター内のプラネタリウムを楽しみ、散歩を終えた。

世田谷区立郷土資料館■世田谷代官屋敷、世田谷区立郷土資料館
開館/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館/月曜、祝日(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始
入館料/無料
問合せ/TEL 03-3429-4237

■教育センタープラネタリウム
夏休み期間は第3日曜日の15日を除く毎日投影。
投影時間/11:00(ちびっこタイム)、13:30、15:30。約55分。
料金/高校生以上400円、小・中学生100円(土日祝は無料)、小学生未満無料(席の確保のため観覧券は必要)
※すぐ満席になるので鑑賞券の購入はお早めに。
問合せ/TEL 03-3429-0780

(2010年9月掲載)  地図


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