小さな散歩道

兵庫島公園 (世田谷区玉川3丁目)

 二子玉川駅西口から徒歩5分、兵庫島橋を渡った緑に包まれた小高い丘が兵庫島公園だ。多摩川の支川、野川と多摩川の合流点にあり、昔は島の形をしていたが今は地続きになっている。公園中央の丘には木が茂り、若山牧水の歌碑、藤棚、あずまや、トイレなどがある。
  中に「多摩川ドナウ川友好河川記念碑」と書かれた碑があった。説明書きによると、世田谷区は1985年、オーストリア・ウィーン市ドゥプリング区と姉妹都市提携を結び、両市の交流が続けられている。これを記念して、1986年、同区を流れるドナウ川と多摩川が日本で初めての「友好河川」になった。互いに美しい流れを守り続けようという誓いのシンボルとして記念碑が建てられた。ドナウ川の一画、ドゥプリング区を対岸にのぞむ地に「世田谷湾」(Setagaya-Bucht)と命名された。記念碑は彫刻家・鈴木政夫氏の制作。レリーフはゆたかな自然の中で遊ぶ子供たちを、台座上の女性は自然を生み出す母なる大地を表している。ドイツの地に世田谷湾という名前の湾があるとは感激。
 公園に続く芝生の広場には小川が流れ、子供たちに人気の水遊び場になっている。丘と、多摩川の間には瓢箪(ひょうたん)の形をした池があり、この池が景観に効果をもたらし、兵庫島公園が多摩川八景のひとつに選ばれている。
  兵庫島という名前には伝説があった。1358年、新田家の再興のため、鎌倉へ向かう新田義貞の次男・義興らは、矢の口の渡し(調布市)から多摩川を渡る途中、敵軍のわなにはまり全滅してしまった。義興の家来の一人、由良兵庫助の死体が流れ着いたのが兵庫島といわれている。村人達は災いを恐れて兵庫助をこっそりとこの島に供養したといわれている。この中州はその後、洪水でも流されることなく現在に残ったという。
  兵庫島公園付近には芝生が広がり、小さい子供が思い切り走り回れる場所だが、多摩川には気をつけるように看板が出ていた。この辺りは川の流れが狭く蛇行していることもあって事故に遭いやすいのだ。
  のどが乾いたところで、テント張りのカフェを河川敷に発見!「peace tokyo」だ。ベルギーのホワイトビールの生をいただく。フルーティな味がいい。広い空、さわやかな風、テラス前の小川では子供たちが遊んでいた。

■案内
peace tokyo TEL:03-3709-0220
営業/3月末〜11月末(冬の間は撤収)
営業時間/11:30(土日祝は11:00)〜22:30(ラストオーダー21:30)

(2010年6月掲載)  地図


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