小さな散歩道

豪徳寺 (世田谷区豪徳寺2丁目)

豪徳寺総門 東急世田谷線宮の坂駅から徒歩5分。世田谷領主であった井伊家の江戸の菩提寺であり、招き猫発祥の地といわれている豪徳寺を訪ねた。 本尊は釈迦如来で、1480年(室町時代)に当時の世田谷城主だった吉良政忠が創建した。曹洞宗の名刹だ。
本堂  3年前に建立された三重塔が美しい境内を飾る。仏殿の左奥には国の史跡に指定されている井伊家の墓所がある。 幕末の大老で暗殺された井伊直弼(いいなおすけ)の墓の一画は現在補修工事中で近づけなかった。 近くに張ってあった井伊直弼の墓の写真に手を合わせて戻る。
が祭られている招猫殿  お目当ての招猫殿は仏殿と墓所の間にある。招猫殿の右に願い事を書いた絵馬がたくさん下がっていた。 板絵の裏を見ると「シーちゃんは17歳。腎不全の進行が止まって長生きしますように」、「豆千代の歯周病を治してください」。 飼っている11匹の猫の名前を書いて「みんなが健康でありますように」というのもあった。
  奉納主の住所を見ると、関東一円が主だが、全国に渡っている。 招猫殿の左奥の奉納所には右手を上げて招く格好をしている白い大小の招き猫の置物が溢れんばかりに並んでいた。 願い事がかなった人がお礼に奉納したのだ。一般的に見る招き猫のように小判を抱えてない素朴な置物だ。 「ここの招き猫は、お金じゃなくて福をもたらすんだよ」とお参りに来た近所の人が教えてくれた。 猫の置物の名前も「招福猫児(まねぎねこ)」と呼ぶ。(社務所で販売している)
願いがかない奉納された猫たち(招猫殿) 招き猫発祥の地といわれる理由はこうだ。ある時、井伊直孝が門前を家来と馬で通りかかった時、和尚の飼い猫が直孝を門内に招き入れた。 直孝は急な雷雨から身を守ることが出来た上に、和尚の説法を聞くことが出来たと喜び、井伊家の菩提寺にしたという。 以来豪徳寺は繁盛した。和尚は猫の恩返しと受け取り、愛猫の死後は墓を立て、猫の姿形をつくり、招福猫児と称してあがめた。
  同寺は都内でもっとも心が和む寺という人もいる。桜と紅葉の名所でもある。これからは梵鐘前や仏殿脇の紅葉も見ごろを迎える。

■問合せ/豪徳寺 世田谷区豪徳寺2-24-7 (TEL)03-3426-1437

← 猫の置物「招福猫児」(高さ約9cm)と絵馬 各800円

(2009年12月掲載)  地図


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