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二子玉川駅から東急コーチバス。「静嘉堂(せいかどう)文庫」で降りてバスの進行方向に進むと、左側に「静嘉堂文庫」「静嘉堂文庫美術館」と表札がかかった立派な門に出合う。ここが正面入口。岡本静嘉堂緑地に隣接する高い木立に囲まれた坂道に差し掛かると涼しい風が吹いてきた。200メートルほど上がると岡の上の広場に出た。丸い池を挟んで文庫と美術館が並ぶ。
静嘉堂は、旧三菱財閥の故・岩崎彌之助氏(三菱第二代社長)・小彌太氏(三菱第四代社長)父子二代に渡って収集された国宝7点、重要文化財83点を含む、和漢20万冊の古典籍と6,500点の東洋美術品を収蔵していることで知られる。
文庫は東京都指定歴史的建造物で、小彌太氏が、父親が収集した古典籍を保存するために、大正時代に建てた私設図書館だ。英国・ケンブリッジ大学に留学した経験がある小彌太氏が、英国で建築学を学んだ桜井小太郎氏に設計を依頼したという。英国風の落ち着いたたたずまいが言い。ちなみに利用は予約が必要だ。
美術館は文庫創立百周年を記念して平成4年(1992)に開設。昭和52〜62年まで小規模の展示室で公開していた収蔵品を対象に年に4〜5回企画展を行っている。
現在は12日まで「静嘉堂の古典籍 第8回 源氏物語の世界」を開催中だ。「源氏物語」は、1000年前の11世紀初頭(平安時代)に宮廷女房・紫式部が書いた四代の帝の70余年にわたる長編物語。当時の宮廷生活やその中で生きる光源氏をめぐる複雑な人間模様が描かれている。
源氏物語の研究は鎌倉時代から盛んになり、今日の文学まで影響を与えている。
本展では、鎌倉時代に書写された「源氏物語」文をはじめ、先行する「伊勢物語」、また「源氏物語湖月抄」「源氏男女装束抄」「車図」など、鎌倉時代から江戸時代までに著された注釈書・有職故実書を含め多彩な「源氏物語」の世界を紹介。特に幕末に江戸の庶民に喜ばれた歌川国貞の描いた錦絵など華やかだ。
国分寺崖線の斜面を利用した庭園を散策がてら、東側に抜けるとモダンな納骨堂があった。しだれ桜があり春には花見客も訪れるという。
10月10日11:00から列品解説がある。
次回の企画会は「筆墨の美――水墨画展――第二部 山水・人物・花鳥」 10月24日〜12月20日まで。
■案内
開館時間/10:00〜16:30(入館は16:00まで)
休館日 /毎週月曜日、ただし祝日の場合は開館し、翌火曜日が休み。展覧会開催日以外は休み。
入場料 /一般:800円、大高生500円、中学生以下無料
駐車場 /20台分、美術館前まで車が入れる
■問合せ
静嘉堂文庫美術館 TEL:03-3700-0007 住所:世田谷区岡本2-23-1
(09年10月掲載) 地図
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