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二子玉川駅から成城学園前行きのバスで、次大夫堀公園前下車。徒歩2分。次大夫堀公園の中に昭和63(1988)年に開園した次大夫堀公園民家園がある。名主屋敷である旧安藤家と旧加藤家、旧城田家の住宅主屋の民家三棟、旧秋山家土蔵と旧谷岡家住宅表門の世田谷区指定有形文化財がそろう。その他には消防小屋、火の見櫓(やぐら)などを復元し、公園内の次大夫堀や水田とあわせて、江戸時代後期から明治にかけての世田谷の農村風景を再現している。バスを降りて公園の中を小川に沿って民家園に向かう。小川のほとりにはヤナギの枝が風になびき、その下では子どもたちが水遊びをしていた。
「次大夫堀」の名前の由来を管理棟の展示室で知った。江戸時代初期、代官・小泉次太夫吉次の指揮で開削された農業用水のことで、正式には六郷用水という。全長23.2キロメートルで、現狛江市、世田谷区、大田区の14の村々を通っていた。役割を終え、寸断されていた次太夫堀は、昭和55(1980)年、同公園内にかつての水の流れを600メートル復元したという。それがこの小川。
民家園の正門を入る。穀倉と納屋を両サイドにもつ旧谷岡家の表門は江戸時代の末に深沢に建てられた長屋門の一種だ。当主は代々村の年寄り役を勤めていたそうだ。旧城田家は半農半商の家で、厨子二階(中二階)は多摩川を下って来た筏師(いかだし)たちが休息したであろうという推定で復元したという。ここで昔なつかしいラムネ(1本80円)をいただく。
明治初期に建てられた旧安藤家住宅主屋は名主の役宅を兼ね備えた八間取り形式で典型的な豪農の建物だ。取材した時は旧加藤家は群馬県から職人さんが来て茅葺き屋根の葺き替え工事中だった。8月からは新しい屋根がお目見えする。
岡本民家園同様、ここも「生きている古民家」がテーマ。囲炉裏には毎日火がたかれ、家の中や軒下には民具が置かれ触ることもできる。多くのボランティアグループがかかわり農村に伝わる伝統技術や昔ながらの生活体験の講座を支えていることでも知られる。一例をあげると藍染めの会、綿と糸の会、鍛冶の会、そばの会などがあり、手打ちうどんや、機織教室などをやっている。
■次大夫堀公園民家園 世田谷区喜多見5-27-14
開園/
午前9時30分〜午後4時30分
休園日/
毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、
年末・年始(12月28日〜1月4日 但し元日は特別開園)
問合せ/TEL:03-3417-8492
(09年8月掲載) 地図
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