小さな散歩道

昭和のくらし博物館 (大田区南久が原2丁目)

昭和のくらし博物館 東急多摩川線下丸子駅から徒歩約10分。昭和26(1951)年建築の民家を丸ごと保存し公開している「昭和のくらし博物館」に行く。
  玄関の引き戸を開けると、書斎兼応接コーナーだ。
  茶の間の真空管ラジオからニュースが流れている。この音だけで昭和にタイムスリップした。火鉢、おひつがあって、ちゃぶ台には麦飯、めざし、たくあんと当時のメニューをロウ細工で再現している。パッキングの付いたアルマイトの弁当箱を発見した60代の女性たちは「これは汁が出ないからおかず入れだったね」と懐かしんでいた。

合理的設計の書斎兼応接間茶の間 奥に台所が見える

2階の子ども部屋

アルマイトの弁当箱には話題が集中する 隣接する台所には木製の冷蔵庫、おかま、和室には裁ち板、くけ台など和裁の道具が並ぶ。2階は子ども部屋と下宿人用の部屋(現在は企画展示室として使用)だった。家事を大切にした当時の主婦の家族への愛情が感じられた。
  この家は昭和25(1950)年にはじまった住宅金融公庫の融資を受けた公庫住宅で、あるじの東京都職員で建築技師だった小泉孝さんが自ら設計し、建てた。敷地面積50坪(165平方メートル)、2階建て、延べ床面積18坪(59.4平方メートル)。
「小学生には井戸は珍しいようですね」とスタッフの深田さん  小泉さん一家(両親と四姉妹)はここに45年間暮らしていた。同家が初期の“公庫住宅”で家財道具もすべて残っていたので、長女で生活史研究家の小泉和子さん(75)が10年前に開設、個人で運営している。年間の見学者は約5,000人。小学生対象の昭和の生活体験教室や、和裁や漬物などの家事の伝承講座など各種の催しが行われている
  「くらしの面から昭和という時代を考える講座を多く企画していきたい」とスタッフの深田万里子さんはいう。
 
■案内
  開館/ 10:00〜17:00
  休館日/月・火曜日(祝日も)  9月上旬休館日あり
  入場料/大人500円、高校生以下300円

■問合せ
 昭和のくらし博物館  TEL 03-3750-1808  ウェブサイト

(09年7月掲載)  地図


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