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東急池上線の御嶽山駅から商店街などを歩き約5分、民家の角を左に曲がると公園の入り口に着いた。足元に石製の表札があり、「大田区立 かにくぼ公園」と刻まれている。その下にある銘文によると、この周辺は昭和7年に東京市に編入されるまで「蟹久保」と呼ばれ、地域の人々に大変親しまれていたという。公園の名前もそれにちなんだそうだ。
きっと、その頃はカニが生息していたのだろう。何かそれをしのぶ面影はないだろうか。と思って正面を見ると、そこには円形をした石造りのくぼみがあって、その中央にカニならぬカエルの石像がちょこんと鎮座している。えんび服を着てほほ笑んだ姿は、なかなかユーモラスだ。冬さなかの今、くぼみの中は何も入ってないが、夏には水流が出来て池になり、涼しさを演出するのかもしれない。
さらに進むと、金属製の日時計が置いてある。半月形の弓のような形を二つ組み合わせた、ユニークな構造だ。「時計のみかた」という説明によれば、隣にある「均時差表」で換算して、現在の時刻を知る方式らしい。
緩やかな斜面を利用した園内は、3段に別れている。上の段に登ると藤棚があった。と思ったら実はブドウ棚で、マスカットに似た青い房は、まだかなり残っている。公園にいた人に聞くと、カラスが食べているのは見たことあるが、人が食べているのは余り見たことないとのこと。園内にはほかにもキウイの棚や、ビワの木があり、住宅地に囲まれていながら、実り豊かな珍しい公園といえそうだ。
(09年1月掲載) 地図
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