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北京オリンピック開幕まであとわずか。そこで、44年前に開かれた東京オリンピックにゆかりのある身近な施設を訪ねることにした。
東急田園都市線駒沢大学駅を出て、自由通りを歩き10分余り、「駒沢公園東口」に着いた。中に入って陸上競技場に沿って歩くと間もなく、まるで地面からすっくと立ち上がったような建築物が、競技場の屋根越しに現れた。一見、お寺にある多宝塔のように石の板が何段にも重なっているように見える。
近づくと、人工の池の中に土台を築き、そこから一気にそびえ立っているようだ。高さ50メートルほど、コンクリートの板を10段くらい積み上げただけの、武骨な感じの塔だ。板と板の間にはむき出しの階段と、細い手すりが付いているが、それを登るにはかなりの熟練を要しそう。普通の人には無理に思える。
近くにあった案内板には「管制塔(オリンピック記念塔)」と記されてあったが、特に説明らしいものはない。でもここは国立競技場に次ぐ東京オリンピックの第二会場であったという。「東洋の魔女」と言われた女子バレーが闘った場所であり、サッカーやレスリングの熱戦で連日、人々が沸き立った場所なのだ。
その記念塔からほど近い池の表面に、大きな四角い皿のような形の物が突き出ていた。ここにも特に説明らしいものは見当たらないが、期間中の2週間燃え続けた聖火台なのだそうだ。ちょっぴり寂しそうにも見えた。
(08年8月掲載) 地図
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