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東急多摩川線沼部駅から歩いて約1分、石畳のやや広めの歩道に出た。青々とした藤棚の下にベンチが2台あって、休んでいる人も。手前の右側に金属製の説明板が立っていた。
「六郷用水物語」と書かれ、周辺の地図や説明が記されている。それによると、六郷用水とは六郷領(現在の大田区の平地地域)の水利を目指して、江戸時代初期に幕府代官小泉次太夫(じだゆう)により造られた農業用水路なんだそうだ。現在の狛江市で多摩川から取水され、全長は30キロ、潤す田畑は1500ヘクタールに及ぶという。地図によれば用水に沿って「女堀のみち」、「北堀のみち」、「南堀のみち」が整備され、この辺は「女堀(おなぼり)のみち」とのこと。
早速、用水に沿って上流に向かうことにした途端、目に付いたのが水の中に立つ小型の水車。流れにあわせゆっくり回っている。そばの説明板に「この水車はジャバラと呼ばれる揚水用水車の模型で、干ばつなど水が少なくなった時に羽根を足で踏んで回転させ、田に水を揚げていた」とあった。
水路は上流へ行くに連れ広くなり狭くなり、大きな鯉や亀が泳ぐほど自然豊かで、時にうっそうとした並木の下を流れている。途中「東京の名湧水57選」という名の泉もあり水の豊富さを思わせる。たどり着いた「源流」は、中原街道の下をくぐるトンネルの手前だった。ここにも「六郷用水の跡」の石碑があった。
(08年7月掲載) 地図
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