小さな散歩道

雪ケ谷八幡神社  大田区東雪谷2丁目

 東急池上線石川台駅から商店街を歩き約1分、左側にこんもりした森と、石段、鳥居が見えて来た。 石段を登り終わると、広場の先にもう一つ石段があって、その左脇に黒く輝く碑文をはめ込んだ石碑が立っている。
 「社誌」と題されたその碑文によると、創建は永禄年間(1558―1570)。 北条氏康の家臣太田新六郎が管内巡視の際、当所で法華曼荼羅の古い碑を発掘、「これはめでたい」として、 八幡大菩薩を祭ったのが始まりという。旧中原街道沿道随一の由緒深い神社として人々に敬われてきたそうだ。

 ゆるやかな石段を登って行くと、両脇を高い樹木に囲まれた本殿が見えた。 赤く塗られた柱や横木、軒の彫刻、どっしりとした青い屋根はいかにも豪華で勇壮だ。 それにも増して特徴的なのは、ご神体が祭られている所まで、とても奥深く感じられることだった。
  本殿の左手に英霊、祖先の霊を祭る斎霊殿がたたずんでいる。質素な木造りだが、すっきりと端正な風情だ。 斎霊殿の後方には小さなほこらがたくさん集まっていた。稲荷神社、猿田彦神社、天神社、水神社などだ。 猿田彦神社の中には、年月を経た石仏や石塔が収められている。 ほこらの傍らに立つ説明板に「大田区文化財 庚申供養塔群」とあり、 古い順に天和元年(1681)から安政4年(1857)まで、全部で7基あると書かれていた。
 いずれも駒型と呼ばれる形式で、道しるべを兼ねたものもあるとのこと。 石塔に彫られた像の、手を合わせるその姿が印象的だった。

 

(07年12月掲載)  地図


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