小さな散歩道

多摩川浅間(せんげん)神社 (大田区田園調布1丁目)

 

  東横線(または多摩川線)多摩川駅を出て多摩川線沿いに歩き約2分、右手に登る坂道があり、 入り口に「創建は鎌倉時代」と題した大きな説明板が立っていた。
  それによると、源頼朝が出陣した時、夫の身を案じた妻政子が後を追ってここまで来たが、 足が痛み出し多摩川畔で治療することになった。その際、この丘に登ってみると富士山が鮮やかに見えたので、 夫の武運長久を祈って身につけていた観音像をこの丘に建てた。村人たちがこれを「富士浅間大菩薩」と呼び、 尊崇したのが神社の始まりだという。
  その坂の入り口を過ぎると、両脇を石の手すりで囲まれた石段があったので登ってみた。 一の鳥居をくぐると平坦な広場になり、さらに二の鳥居をくぐって上へと石段が続いている。 両脇は溶岩のようなごつごつした岩で囲まれた道だ。登りきる手前右に石碑があって、 立て札に「勝海舟の直筆 富士講中興の祖 食行身禄之碑」と書いてあった。
  最後の鳥居の向こうに、青い屋根と赤く塗られた柱や手すり、白壁のコントラストが鮮やかな社殿が、 優美に、力強く構えていた。「浅間造り様式」というのがこれだろうか、 社殿の奥は一層高い塔のようにそびえていて、荘厳さを感じさせる。
  境内は、社務所の屋上となっている展望台につながっている。 そこに出ると視界が一気に開け、眼下に多摩川の流れ、対岸の川崎市や丸子橋、東横線の鉄橋などが一望出来た。

  (07年11月掲載)  地図


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