続・しごと日記
雨の日の配達 (2008年11月号掲載)
我らが新人君も秋雨と果敢に戦っています。
今月も日記をのぞいてみましょう。
○月×日
今日も雨。
「この雨を乗り越えられれば、お前も一人前だ」 という先輩の一言。
自分では結構一人前になったつもりなんだけど……。でも、まあ鍛えられている。
体力は消耗するし、にわか雨に降られたりすると、てんてこ舞い。
雨の日でも、新聞をぬらさずに、読者の皆様にお届けする……当たり前のことだけど、実際にやってみると、結構大変だ。
先輩には、すべての新聞にビニールをかけるということが無いように注意される。
「雨の降りこまないアパートやマンションへ届ける新聞にまでビニールをかけるのは素人だ!」
『必要なサービスを必要としているお客様へ』――これが配達の基本なんだとか。
配達が400部ほどの平均的なエリアで、実際にポストが壊れていたりして、ビニールをかけた新聞で対応するのは約1割程度。
ポストの状態を見て、選別配達をするよう指導されるけど、これがけっこう難しい。
丈夫そうなポストでも裏側が壊れていたり、雨漏りがしていたり。指示通りに配達するけど、見た目はわからない場合も多い。
にわか雨や予想外のポストの故障には、手入れ用のビニール袋で対応する。
ポストに手紙やチラシがささりっぱなしになっている場合も面倒だ。
首尾よく新聞を届けても、手紙やチラシ伝いに雨粒がしみこんでくる。
「新聞屋の眼と勘を研ぎ澄ませ!腕を磨け!」先輩はそう言うけど、なかなか大変だ。
『伝説の配達員』『配達の神様』、そういった称号で呼ばれるベテランの配達社員がどこの販売店にも必ず1人はいて、
そういった人たちは、台風にも動じることなく黙々と配達するらしく、突然のにわか雨にも1件のクレームもなく配達を終えるのだとか。
僕も見習おうと、ちょっとまねをしてみると……
「○丁目の○○さん、新聞がぬれていて読めないらしいぞ!すぐにきれいなものを届けて、頭下げて来い!」と店長からのおしかり。
まだまだ『達人』への道のりは険しそうだ。
時間はかかりましたが、いよいよ新人君も集金やあいさつ回りで読者の皆様に、お披露目となります。
新人君、どんな日記をつけていくのでしょうか。
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